今日のテーマは、『基軸通貨:米ドルの、ファイナンス観点から見た力強さ』です。
最近、市場が『混沌』としています。
これまで、
成立してきた『セオリー』は、尽(ことご)く無視され、
短期的には、『予測不能』と言える動きを繰り返します。
私自身、
短期的な市場変動には、常日頃から興味がなく、
また、その影響を受けないよう『資産形成』を進めています。
しかし、
最近の市場動向に、『研究対象』としての興味は惹かれており、
日々、ワクワクした気持ちを持って、注視させてもらってます。
例えば、
『株式』と『債券』の両市場は、
歴史的に『逆相関』と考えられてきましたが、
現在では、同様の動きで高騰し続けています。
また、
『株式』と『(金に代表される)コモディティ』の両市場も、
これまでの歴史を振り返れば『逆相関』が成立したはずです。
しかし、
2月末から3月にかけて、突如襲来した『コロナ危機』を経て、
『株式市場』は急回復を見せているにも関わらず、『金』も高騰しています。
先日もご紹介させて頂いた通り、
取引単位『トロイオンス』あたりの取引価格は、
過去最高値更新はおろか、史上初の『2000ドル』も突破してしまいました。
物理空間(自然科学界)であれば、
私たちを支配する『法則』は、『有史以来』はおろか、
宇宙が誕生した『138億年前』から不変のはずです。
しかし、
冒頭からご紹介の通り、直近の市場動向はこれに当てはまらず、
近代、数百年間成立した『法則』が、変化しようとしています。
そして、
前述した現象のほか、私が、興味を惹かれて注視するのが、
『高揚感』が漂う市場にも関わらず進行する『円高』です。
例えば、
2000年代後半からのトレンドとして、
世界経済にインパクトを与える有事が起こった際、
日本円は『避難場所』としての役割を担いました。
実際、
2007年後半から顕在化した『サブプライム』の際などは、
先進諸国の中で、日本が唯一、金融を引締めていた事もあり、
『日本円』は過去最高にその価値を高めていました。
今からは想像し難いですが、
『1米ドル=80円〜90円台』を推移する時代が続き、
瞬間最大風速としては、『75円台』も記録しています。
流石に、
その時代(超円高の時代)が、再び到来するかは分かりませんが、
『避難所』としての役割も、最近まで正常に(?)機能しました。
しかし、
直近の『為替相場』を観察すると分かりますが、
少し、『イレギュラーな動き』を見せています。
前述の通り、
米国市場を中心に、『株式高』が進行しているにも関わらず、
市場参加者の間には『高揚感』と『不安感』が混在しており、
『円高』へと触れてしまう場面が多々あるのです。
これは、どういうことなのでしょうか??
例えば、
『株式市場』が堅調に推移する場面では、
投資家は『リスク』を積極的に引き受けるので、
『日本円』の需要は低く『円安』が進行します。
反対に、
『株式市場』に不穏な空気が漂いはじめると、
投資家は『リスク』を嫌って資金を引き上げ、
『日本円』の需要が高まる為『円高』が進行します。
ただ、
今、進行しつつあるのは『株高』と『円高』の相反する現象です。
これは、
明らかに『米ドル』が供給過剰にあり、
『株式市場』の流入では解消しない程、
資金がダブついているということです。
その為、
資金の供給バランスが『日本円』との間で相対的に崩れ、
結果論として、『円高』に進行してしまっているのです。
2020年度、
『日本国』も、様々な『経済支援策』を展開しており、
ほぼすべての原資を『国債発行』により賄っています。
しかし、
米国は、それをも凌駕する『国債発行』を断行しており、
日本以上に、市場に対して『資金供給』し続けています。
以前から、
世界の覇権国である『米国』は、それと同時に、
『世界一の債務国』とも言われ続けてきました。
にも関わらず、
『米国』は、この状況でも『国債増発』がバンバン行われ、
『国家債務』も、積極的に積み上げ続けることが出来ます。
一見すると、凄く『ダメ人間』ですよね(笑)
ただ、
なぜ、そのような『無茶苦茶な理論』が成立するかと言うと、
米国が『基軸通貨:米ドル』の覇権を握り、ルールを作ることが出来るから。
先日の記事中、
MMT(現代貨幣理論)なる暴論(?)をご紹介しましたが、
これは『基軸通貨:米ドル』を持つ米国のみは成立可能です。
数年前、
『人民元』がIMFのSDR通貨に加えられた際などは、
国家としてのポテンシャル(潜在能力)も考慮して、
『米ドルを凌ぐのでは??』と言われたことがあります。
しかし、
現時点、世界的な『流通量(決済量)』や、
通貨としての『ポテンシャル』を考えると、
『人民元』にそこまでの世界的影響力は有りません。
『時代の転換点』は、将来的には訪れるかも知れませんが、
それが『今直ぐ』とは、中々考えられないということです。
世界的な『株高』にも関わらず、進行する『円高』が、
間接的に『基軸通貨:米ドル』の力強さを実感します。
今後も、暫くの期間、『米国ドル』の時代は続きます。
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