今日のテーマは、『欧州で展開されるマイナス金利:深掘りという迷走』です。
SNSで繋がっている方々には情報発信していますが、昨日から東京に来ています。
いくつか仕事が重なった為なのですが、
1つは、昨年から指導した新規ビジネスの定期ミーティングという用事。
ただ、
それだけで帰阪してしまっては、せっかくの上京が勿体ない為、
1年半ぶりの東京出張セッションと、今夜は主催ビジネスセミナーを開催します。
幸い、天候にも、気候的にも恵まれて、とても心地良い時間を過ごしています。
現在、
大阪を拠点にファイナンシャル・プランナー活動をしていますが、
将来的には、拠点を『東京』に移すことも選択肢として考えています。
さて、
一週間ほど前の報道になりますが、『ECB(欧州中央銀行)』が、
3年半ぶりの『政策金利の利下げ』を発表し、世間を驚かせました。
昨年末、
2018年に終了した『量的金融緩和策』を早々に再開し、
今年(2019年)11月1日からは、『金融緩和政策』に急遽転じます。
具体的には、
『月間200億ユーロ(約2兆4000億円)』という金額を、
『国債購入』という形で、今後、市中に供給し続ける方針です。
これを受けて、
『中銀預金金利(EU加盟国の民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利)』を、
現行『▲(マイナス)0・4%』から、『▲0・5%』へと変更する方針です。
背景としては、
欧州内でも停滞を見せる『物価』を、早期に上昇に転じさせる目的があり、
ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁の意向が、強く反映される形で実現しました。
実際、
同日9月12日にECB(欧州中央銀行)から公表された『経済・物価見通し』では、
ユーロ圏物価上昇率は、『2019年:1.2%』『2020年:1.0%』と低調です。
この値は、
2018年の『1.8%』から低下を見せており、
今年6月時点公表の『今後の見通し』からも『下方修正』されたものとなります。
また、
『実質成長率』についても、2018年に記録した『1.9%』から低下し、
『2019年:1.1%』『2020年:1.2%』との予測がされています。
これまで、
ECB・ドラギ総裁は、前回7月の理事会後記者会見で、
「(景気減速の対抗策として)あらゆる政策手法を活用する用意がある』と発言していました。
この発言も、
今から考えれば、『政策金利の引下げ』実行に向けた『布石』であり、
自らの発言に責任を持つ為、今回、スピーディーに決断・行動したと言えます。
しかし、
今回の決定(政策金利の利下げ)を巡っては、加盟国間で評価が割れており、
経済健全国の『ドイツ』『フランス』及び『エストニア』といった国からは、
『時期尚早』との見方から、反対の声が挙がっています。
過去振り返っても、
ECB総裁支持の法案が決定後、これだけ『反対』意見が出るのは前代未聞であり、
上記国の中央銀行総裁は、『追加緩和』に強い『異議』を唱えたと言われています。
確かに、
『米中貿易戦争』を巡る、世界経済の見通し不透明感がここにも影響しており、
ドイツ・フランス始めとした『輸出国』にも、影響を与えている事は事実です。
公式ブログでは情報発信し続けてい通り、
『世界市場』は、(数字上の)その堅調な推移とは裏腹に、
『リスク』を孕み続けながら、『パーティー』を開催している最中のように見えます。
しかし、
このタイミングでの『追加緩和』に伴う『政策金利の利下げ』には、
それ以上に『深い読み』は見られず、今、弾を打ってしまうことで、
今後の『リセッション(景気後退)』時期を前に、万策尽きる恐れもあります。
欧州だけでなく、
米国、日本始め、世界においても、『金融緩和』とそれに伴う『政策金利下げ』は、
『経済浮揚策』の常套手段ですが、安易に乱発してしまったら依存を強める『劇薬』です。
何より、
『明確な目的』を持たないまま、本来は有効とされる『弾』を打つ事は、
もしも、『まったく効果を生まない』という結果が出た際の、ダメージが大き過ぎる。
実際、
今回の『追加緩和』発動は、その『最悪の結果』を引き起こす恐れがあり、
もしもそうなった時、ECBが『次の一手』を考えているとは、想像し難い。
効果不発の際、
『発行額の3分の1まで』と規定されている『国債買取り上限』を撤廃し、
安易に『買取上限』を引き上げる事が、次なる『最悪の選択』と言えます。
このような、
『最悪のファイナンス』が通用するのは、『基軸通貨』の権限を持つ米国のみで、
欧州までもがその『愚策』を実行し始めると、世界経済は混迷を極めていきます。
約一週間前、
市場を賑わせた、ECBの『金融緩和』と『政策金利:利下げ』ですが、
経済政策的には、『迷走』と表現せざるを得ない決定かも知れません。
混沌としてきた世界経済、これからも日々、注視し続ける事が必要です。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太