今日のテーマは、『タイムリーに発生した、経済劣等生のテクニカル・デフォルト』です。
昨日の公式ブログでは、
『債券(借金)で溢れ返る世界は、どこへ向かうのか??』と題して、
『コロナ』にマスキングされた、世界経済の『危機』をご紹介しました。
元々、
世界的投資家等も、以前から指摘していたことですが、
現代における『国家』という枠組みで『健全経営』している組織はありません。
極めて一部の『例外』を除いて、大半の国々が『赤字体質』です。
悲しい哉、
その『トップ集団』に、私たちが居住する『日本国』も含まれる訳ですが、
『デフォルト(債務不履行)候補生』は、世界に溢れているのが実情です。
その『候補生』の1つ、
と言うか、その集団の中でも、中心的メンバーだった『アルゼンチン』が、
昨日(日本時間:5月23日早朝)、無事に『デフォルト』を迎えました。
ご存知の方も多いでしょうが、
これまでも同国は『デフォルト(債務不履行)』を繰り返しており、
今回のそれは、2014年以来、6年ぶり『9回目』となる出来事。
皮肉なことに、
先日、史上初の開催中止がアナウンスされてしまった、
『高校野球選手権:甲子園大会』、出場回数のような表現ですね。
同国にとっては、
定期的に行われる『イベント(季節行事)』のようなものなので、
国民にとっても、それほど、インパクトはないのかも知れません。
勿論、
暫くの期間、国家全体の『経済』は不安定になるでしょうが、
それも見越して、金融機関以外の所に、資産保有していると想像します。
少しだけ具体的に見ると、
今回、同国が『テクニカル・デフォルト』へと追い込まれたのは、
『約650億ドル(7兆円程度)』に上る国家債務の再編交渉が、
米国・機関投資家との間でまとまらなかった為。
昨日(5月22日)付、
『5億ドル(約540億円)』規模の利払いが求められていましたが、
実行されることなく、デフォルト(債務不履行)へと陥ってしまいました。
今後については、
債権者との間で、『返済猶予』と『債務減免』の交渉が、
2020年末までを目処に継続展開されていく流れです。
しかし、
元々、現・フェルナンデス政権は、2019年選挙戦の際、
『(対外債務は)支払う必要無し』を公言して、当選した経緯があります。
『日本国』においては、考えられないですね(笑)
実際、
同国の外貨準備高は『430億ドル(約4.6兆円)』規模と見られており、
当面の『返済能力』を有したままの、意図的な『債務不履行』となります。
この辺りが、
『テクニカル』と言われている所以で、デフォルト常連の同国は、
そもそも、『返済意識』という概念すら、無いのかも知れません。
2002年、
『行動経済学』の分野で『ノーベル経済学賞』を受賞した天才学者、
ダニエル・カーネマンの研究に、『痛みの低減性』を示したものがあります。
シンプルに紹介すると、
仮に、これまで無借金状態できた人間が『50万円』の借金をするのと、
既に、『1億円』の借金がある人間が、新たに『50万円』借りるのと、
心理的に感じる『痛み』は、後者では、驚くほど少ないというものです。
この理論でいくと、
今回を除き、既に、過去8回ものデフォルトを経験していたアルゼンチンは、
完全なる『無感症』状態に陥っており、この出来事を痛いと感じていません。
恐らく、
今後も『10回目』『11回目』と、着実に回数を積み重ねるのでしょうが、
本当に『定期イベント』として、同国を『経済危機』が襲うのだと考えます。
もはや、『勢い』すら感じるレベルです(笑)
ただし、
『新型コロナ・ウイルス』に影響を受けての経済危機により、
『デフォルト・リスク』が高まっている国家は、世界中に沢山あります。
例えば、
中東・レバノンという国家は、本年2020年3月、
『約12億ドル』規模の債務に対し返済不能に陥り、
同国史上初となる『デフォルト』を経験しました。
また、
南米・エクアドルという国家も、国債利払いの停止状態にあり、
こちらも、実質上の『デフォルト』へと追い込まれる状況です。
更に、
もう少し、人口・経済規模の大きな国家においても、
国債が『ジャンク債』級の低格付けに陥る国々は、世界中で多発しています。
要は、
『国家』という大きな組織が、その『信用』を基に借り入れた債務でさえ、
世界中で『信用できない』とされる現象が、続出しているということです。
例えば、
『家族』というユニットの構成員(父、母、子供たち等。)全員が、
『借金体質』であれば、その一家は、経済的観点で『終焉』します。
同様に、
地球上に存在する『国家』に、このまま『借金体質』が蔓延したら、
現代資本主義においても、近い将来『ツケ』を支払わされることになる。
(債務不履行の)借金で溢れ返る世界は、どこへ向かうのか??
『新型コロナ・ウイルス』でマスキングされていますが、
今尚、私たちは『重大な課題』を抱え続けていることを、忘れてはいけません。
『リスク』は、切り離しておいた方が良いでしょう。
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最後になりますが、
新型コロナ・ウイルス感染拡大に伴う、事態の早期収束・終息と、
ご覧頂いている皆様のご健康を、心より、お祈り申し上げます。
井上耕太事務所
代表 井上耕太