今日のテーマは、『金融危機時、GPIFへの影響はどうだったのか??』です。
金融危機(サブプライム・ショック)から、今月で『10年』。
節目の年を迎えるので、今月はどうしても関連したテーマに目がいきますね。
実際、
今週は『サブプライム・ショック』に関連するテーマで、
公式ブログの記事も更新させて頂いています。
今日で一旦『一区切り』付けようと思うのですが、
最後に、個人的に触れておきたいテーマを取り上げました。
『GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)』
現時点で、
運用資産総額が『150兆円』を超え、
『世界最大のヘッジファンド』と呼ばれる、我が国の年金資金運用機構です。
現在でこそ、ある程度その存在を認識する方々が増えましたが、
金融危機が起こった2008年当時は、そこまで認知度は高くありませんでした。
その名を一躍有名にしたのは、今から4年ほど前の『2014年』まで遡ります。
当時、
2012年に第二次安倍政権が発足し、日銀総裁も変わり、
日本市場に『金融緩和』と『株高』の波が一気に押し寄せていた頃です。
その際、
『立役者』となったのが、今日ご紹介している『GPIF』で、
それまで『12%』ほどに抑えていた『株式割合』を、
一気に倍増させて『日本市場』の上昇に大きな一役を買いました。
それまで、
『GPIF』の資産配分としては、『日本国債』が全体の60%を占め、
その次に高い割合の『日本株式』も、前述の『12%」程度です。
実に、
日本の『国内資産』だけで、全体の『72%』を占めるわけですが、
これは、かつての山一證券社員が全ての資産を一瞬で失ったように、
『会社員』が『自社株買い』で総資産を築く状態と同等です。
わかりやすく言うと、
『日本経済』が今後も上昇すれば(第二次高度経済成長期が来れば)、
『年金原資』も潤い、日本国民は恵まれますが、その反対では危機的状況に陥ります。
『会社員』で言う『自社株フルベット投資』は、リスクが高く、
『GPIF』がこの戦略を取ることは、『年金原資で丁半博打を打つ』のと同等です。
それを意識してか・せずかはわかりませんが、
2014年10月にこの『資産保有割合』は一新され、
それまで60%を占めていた『日本国債』は『35%』まで激減。
それを補うかのように、
『日本株式:25%』『外国株式:12%』『外国債権:11%』と、
ボラティリティ高い資産クラスに配分して運用をスタートしました。
ちなみに、
『GPIF』が『株式割合』を高める時(『国債割合』を下げる時)、
首相御自ら、海外諸国の機関投資家にプロモーションしたのは有名な話です。
彼らからしたら、
これから『世界最大のクジラ』が動き出すことがわかっているので、
その前に行動を起こせば、『濡れ手に粟』のぼろ儲け商売です。
世間にはあまり知られていませんが、あの動乱の時期に、
日本市場は『海外投資家』に多大なる恩恵をもたらしたのです。
話が逸れたので、元に戻します。
一般的に、『債権』はリスクの比較的低い『安全資産』として、
『株式』は、ボラティリティ(変動)を受け入れなければいけないので、
『リスク資産』として分類されています。
もしも、
2008年の『サブプライム・ショック』当時、
この比率で『GPIF』が資産保有していたら、どうなっていたのでしょうか??
そもそも、
旧態依然の『資産クラス保有割合』だった場合で、
当時の『GPIF』の運用成績は、どのように変化していたのでしょうか??
世界市場が『メルトダウン』寸前だったので、
その当時、認知度も低かった『GPIF』自体は話題になりませんでしたが、
実は、2008年単年で『21%』もマイナスリターンを叩き出していたのです。
幸いなことに、
2001年の運用当時の『資産総額』を割ることはありませんでしたが、
それまで順調に運用してきた『利益』を、『1年』で吐き出した計算になります。
ちなみに、
昨年度末(2018年3月末)時点の資産総額『156兆円』で、
同じことが起きたとすると、評価損は『約33兆円』まで膨らみます。
更に、
『国内外株式』『海外債権』の比率を高めた現在の状況で同様の事態を迎えたら、
総資産『156兆円』分の『53兆円』が消え去る計算になるようです。
この数字だけ見ても、
10年前の『あの出来事』が想像以上のインパクトを残し、
『100年に1度の金融危機』と呼ばれたのを実感できますね。
大前提として、
『GPIF』の短期的な運用の増減で、直近の年金支給には影響を与えませんが、
それでも、国民全体の『年金原資』が減る事に、良い気持ちがする方はいません。
『10年前』の再来があれば、私たちは平生を保てるでしょうか??
ただし、
これも私たちがしっかりと理解しておかなければいけない事は、
『未曾有の金融危機』が起こった後も、5、6年の時間を置く事で、
各クラスの『資産』が金融危機以前まで回復した事です。
更に、
もしこの時、慌てて市場を飛び出していたら、
その後の順調な成経済長の『波』に乗り遅れていたことも事実。
これからも『経済成長』と『金融危機(調整局面)』は、
長いスパンで見て、交互に必ずやって来るでしょう。
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