今日のテーマは、『SMBC日興証券:相場操縦事件から、個人投資家が学ぶべきこと』です。
世界的な規模では、ウクライナ・ロシア間の紛争が、
直近のトップ・ニュースとして報道されていますね。
しかし、
先日、明るみに出たこの報道も、日本国内において、
それにも匹敵する注目を集めていると感じています。
タイトルの通り、
SMBC日興証券が、組織ぐるみでの相場操縦を行い、
経営幹部4名が逮捕されたという衝撃的な事件です。
簡単に、情報整理しましょう。
今回の捜査対象は『ブロックオファー』なる取引で、
先ず、大株主から証券会社が大量に株式を取得する。
その後、
立会時間外で、『該当銘柄』の取得を希望している、
複数の投資家に転売して、売買成立させるスキーム。
今回、
問題視されている取引は大きく2つあり、1つ目は、
対象銘柄を『自己勘定』により買い付けていること。
通常、
市場取引されている時間であれば、市場原理が働き、
オフィシャルに『取引価格』は決定している筈です。
しかし、
それでは、大量の株式を工面できない恐れがある為、
通常より『少し高い価格』を提示し株式を準備する。
2つ目の罪は、
市場取引終了間際、大量の買い注文を仕掛ける事で、
その後の取引価格を釣り上げた疑いがあることです。
実に、
ある対象銘柄では、該当日全体の取引出来高のうち、
『約3割』を占める買い注文が出されていたものも。
この辺り、
株式市場のランダムウォーク理論が浸透した現在も、
現実的には『終値』が取引に大きく影響を与えます。
だからこそ、
大量の買い注文で『株価』を吊り上げることにより、
その後の取引を成立させ易くなるよう動いたのです。
もしかしたら、
『リスクを負って、何故そんなことするの??』と、
疑問に思われている読者の方もいるかも知れません。
それは、
実はシンプルな理屈で、証券会社は株屋さんなので、
株式を売買することで『手数料収入』が得られます。
特に、
今回の『ブロックオファー』などは規模が大きな為、
一度の取引で、大量の手数料が稼げるチャンスです。
それ故、
担当者も『リスク』を理解しながら買い注文を出し、
対象銘柄を『売買取引成立』させるよう動きました。
相場操縦は、
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、
またはその併罪と、金融商品取引法の中で最も重罪。
冒頭に記載した通り、
仮に『会社組織』全体としての犯行と認定されれば、
7億円以下の罰金が科せられる可能性すらあります。
最悪の場合、行政処分を受けることもあるでしょう。
しかし、
私がこの事件で注目したのは、逮捕者のうち数名が、
『通常業務の範囲内だった』と発言している事です。
恐らく、この発言は『正直な本音』を表しています。
実際、
私の周りの『元・トレーダー』の肩書を持つ方々も、
『証券会社としての通常業務』と口を揃えています。
ここで、
決して間違って伝わって欲しくないことは、私自身、
刑罰に問われる本案件を、擁護する訳ではないこと。
ただ、
『善・悪』の判断は、一旦、脇に置いておくとして、
現実社会では、それが実在しているということです。
決して『SMBC日興証券』だけではないと思います。
恐らく、
その程度のこと(?)で逮捕されてしまうのならば、
『自らも該当する』と恐れる業界関係者も多いはず。
それほど、業界内では日常的に起こる『業務』です。
FX(外国為替取引)等でも、同様の事は起こります。
日々変動する為替レートは、
『世界情勢』の変化に影響される場合もありますが、
特別な事象がない場面で、大きく変動するケースも。
その時、
表からは分かりませんが、オプション取引を巡って、
巨人(投資銀行)同士が殴り合っている場合がある。
正直、
『資金力』という観点では太刀打ちが出来ないため、
個人投資家の立場では、コントロールが出来ません。
本日のタイトル、
今回の事件を機に、個人投資家が学ぶべき事ですが、
それは、『ミエナイチカラ』の存在を認識すること。
投資の世界では、
個人投資家のレベル(資金力)を、遥かに凌駕した、
ミエナイチカラ(巨人)の存在が、確実にあります。
私自身、
その事実をきちんと理解して、分を弁えているため、
『個別銘柄取引』は、端(はな)からしていません。
FX(外国為替取引)などは、もってのほかですよね。
オーバーコンフィデンス(自信過剰)に陥らぬよう、
くれぐれも、注意して臨まれることをお勧めします。
暴れる巨人の前には、私たちは余りに無力ですから。
オープン開催(どなたでも参加可)資産形成セミナーは、
現時点、2022年以降の開催スケジュールが未定です。
——————————————————————–
*個人面談ご希望の方は、直接お問合せ頂けたら幸いです。
*井上耕太事務所:michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所
代表 井上耕太