今日のテーマは、『2022年、未だ日本円は安全資産の地位を確保しているか??』です。
『日本円』の通貨価値が下落して、少し時間が経ちます。
直近は、基軸通貨(米ドル)に対する為替レートとして、
『150円』前後で推移することも慣れはじめています。
特殊要因を除いて、
日本の国力、通貨としてのポテンシャルを考慮したとき、
再び『円高』の時代が到来するかについては、疑わしい。
つまり、
現在の水準を『常態』として、資産形成にも臨むことが、
ファイナンスの観点でも『得策』であるということです。
にも関わらず、
世間には、未だに、日本円を『安全資産』だと認識する、
従来(1990〜2000年代)型の考え方があります。
果たして、『日本円=安全資産説』は正しいでしょうか。
それを支持する理由は、大きく分けて3つ程存在します。
①低金利通貨であり、キャリトレードの需要が存在する。
②デフレ国(?)であり、通貨価値は一貫上昇している。
③世界最大の『対外純資産』を保有する、債権国である。
ロジック(理屈)のみで考えれば、すべてが正しいです。
しかし、
『机上の空論』なる言葉が存在していることが示す通り、
現実世界は、決して『理屈』のみでは成立していません。
恐らく、皆さんも、それは経験則的に知っていますよね。
1つずつ解説すると、
世界情勢の安定局面では、投資家は低金利通貨を調達し、
高金利通貨に転換して運用しようとする動きが働きます。
流れを簡単に示すと、市場・金融機関から『円』を調達、
調達した『円』を売り『高金利通貨』を買うという動き。
一般的に、『キャリートレード』と呼ばれる取引ですね。
ただ、
情勢不安が起こると、他の資産同様、手仕舞いが起こり、
前述した流れの『逆回転』が、加速することになります。
その局面では、
最初に調達した『日本円』を、金融機関に返済するため、
将来的に『日本円』の需要アップが考えられるはずです。
需要の高まる通貨(日本円)は価値が高まるはずなので、
将来的に見ても、日本円の価値は安泰とする考え方です。
にも関わらず、現実的には、日本円が売り越されている。
通貨の世界が理屈通りに動かないことは、金融危機直後、
ミセス・ワタナベが、世界を席巻したことが証明します。
次に、
2022年、日本国がデフレ進行しているという認識も、
多くの方々が、嵌ってしまっている『罠』だと言えます。
仮に、
デフレーションを『通貨価値の上昇』と定義するならば、
日本に進行するそれは、厳密にはデフレではありません。
確かに、
海外主要先進諸国と比較して、物価上昇は緩やかですが、
その理由は労働者の『賃金上昇』が起こっていないから。
決して、
『通貨価値』の上昇に伴い、物価が低迷するのではなく、
『コスト』が上昇していない分、停滞するだけなのです。
最後、『対外純資産』の話題も、常々触れられています。
これ(対外純資産)は、
日本政府や企業が、国外保有している『資産総額』から、
対極に位置する『負債』を差し引く事で求められるもの。
理屈では、
経済的有事が発生した際、日本の投資家は資産を売却し、
『日本円』に戻すため、需要が高まるという考え方です。
繰り返しますが、理屈的には、非の打ち所がありません。
しかし、これは、本当にそのまま成立するのでしょうか。
例えば、
日本が世界No. 1の『債権国』であることは事実ですが、
無限に償還不能な資産があることなどは触れられません。
個人であれ、企業・法人であれ、そして国家であっても、
償還不能な資産は、帳簿上はそうであっても無価値です。
これらを総合して考えると(現実世界が示している通り)、
日本円を『安全資産』とする考え方は疑問符が付きます。
思考をアップデートしないことは、多大なリスクを孕む。
その事実も、きちんと理解しておくほうが良いでしょう。
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