今日のテーマは、『急浮上する国債償還期間延長法案は、手を出すと戻れない麻薬性を持つ』です。
昨年(2022年)末、
2023年度:一般会計予算案を審議するプロセスでは、
今後5年間での『防衛費』の大幅増が話題になりました。
実際に、
2023年度に見込む『6兆8219億円』の防衛費は、
前年比130%、金額として1兆4000億円増加です。
さらに、
来年度以降の5年間では、現行予算の160%に相当する、
総額『43兆円超』の巨額予算を確保する方針なのだとか。
先日から、
テーマとして繰り返し取り上げる『少子化対策』同様に、
具体的な財源捻出が、国会でも急務として議論されます。
その過程で、
法人税・所得税・たばこ税の増税で確保を試みる案の他、
『国債償還期間延長法案』なるものが急浮上しています。
これは、一体どのような『仕組み』なのでしょうか??
簡単に説明すると、
日本国が発行する『超長期債』の償還を現状60年から、
80年に延長して、債務償還費を圧縮(削減)する方法。
単純に、
『60年』で返済予定の債務を『80年』で分割すると、
1年毎の償還費は4分の3(60/80)になりますね。
こうして生み出された、一般会計:国債費の余剰予算を、
増大する『防衛費』に充当しようということが狙いです。
しかし、そんな『魔法』が本当に使えるでしょうか??
もちろん、そのような『錬金術』が成立するはずもなく、
これには、巧妙に隠された『カラクリ』が潜んでいます。
この辺り、
物事の『本質』を理解するには、最初のステップとして、
『国債償還の仕組み』の基本を把握する必要があります。
例えば、
『60年もの』の超長期債を考える場合、現行制度では、
発行残高『60分の1』相当額を一般会計で計上します。
もちろん、
該当する債券が、分割して償還される訳ではないですが、
前述の償還費は『特別会計』にプールされていくのです。
(*正確には、国債整理基金特別会計という名称です。)
要は、
60年間、コツコツと返済原資を積み上げていくことで、
60年後、償還を迎えた際の原資を確保する仕組みです。
そして、
本日、テーマとして取り上げる『償還期限延長法案』は、
毎年の積立原資(債務償還費)を80分割するという案。
決して、
『60年もの』の既発債権を償還延長するものではなく、
それが成立すれば、ファイナンスの根幹を揺るがします。
当然、
『60年もの国債』が償還される際、原資は不足する為、
対発行額『4分の1』を新たな国債発行で賄う事になる。
*債務償還費(80分割分)✖️60年間 = 60 / 80。
残額4分の1(20 / 80)が返済に不足する額です。
このように、
『課題』の本質は何一つ解決されない、単なる延命装置、
『子供騙し』のような手法がまかり通ろうとしています。
そして、
大半の国民が理解いないうちに、一旦、法案成立すると、
今後、半永久的に『まやかしの手法』が自動運用される。
巷に溢れる、『詐欺案件』とまったく同様に映りますが、
良くもまあ、ここまで悪知恵が働くものだと感心します。
『償還期間延長法案』は、一旦手を出すと戻れない麻薬。
日本の財政健全化は、永遠に遠退きつつあると感じます。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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代表 井上耕太