今日のテーマは、『SVB(シリコンバレーバンク)破綻劇は、潮流変化のトリガーとなり得るか??』です。
先週3月10日、
FDIC(米連邦預金保険公社)は、自らが管財人となり、
SVB(シリコンバレーバンク)が破綻した事を公表した。
同社は、
ITテクノロジー関連企業を主とした融資で知られており、
資産規模は全米16位に相当する『2090億米ドル』。
現行の為替レートでは日本円換算『約29兆円』となり、
日本国内の地銀・最大手『ふくおかFG』にも匹敵します。
勿論、
名の知れた千葉銀行(19兆円)静岡銀行(15兆円)、
京都銀行(12兆円)より資産規模として格段に大きい。
このように比較すれば、インパクトが理解出来ますよね。
実際、
米国内においても、この規模の金融機関が破綻するのは、
2008年、言わずと知れたサブプライム危機以来です。
この報道を受けて、
米国市場は全体の『信用不安』が高まったことから下落、
NYダウ平均も、久々に3万2000ドルを割り込みます。
更に、
『連鎖倒産』ではないものの、SVBと同様のロジックで、
全米29位シグネチャーバンクも直後に破綻しています。
話を戻すと、今回、SVBの破綻理由は幾つか存在します。
筆頭となるのは、
昨年から展開される、FRBの急激な利上げ政策によって、
債権価格が下落し、保有債権の『含み損』が膨らんだ事。
また、
主な融資先とした、テック企業各社も資金繰りが厳しく、
事業を継続する為、預金を引き出す動きが加速したこと。
加えて、
前述の『テック企業融資』で周知されたことが仇となり、
その他の預金引出しも相次いだことが決定打となります。
直前の3月8日、
『22億ドル』規模の資本増強策も打ち出していますが、
実行されることなく、2日後には経営破綻に至りました。
と言っても、
この破綻劇が、米国市場・米国経済に直接与える影響は、
決して大きなものではなく、むしろ限定的だと考えます。
事実、
米事務省とFRBは『預金の全額保障』は打ち出すものの、
公的資金による救済は行わないと早々に宣言しています。
しかし、
他の金融機関が同様のロジックで破綻することを防ぐ為、
最終到達金利や、利下げ時期の見直しは避けられません。
つい先日までは、
今月21ー22日に開催が予定されるFOMCにおいて、
利上げ幅の再引き上げ(0.50%)が既定路線でした。
しかし、
SVB(シリコンバレーバンク)が破綻した今となっては、
政策金利の『利上げ』自体が非常に疑わしくなっている。
潮流変化は、予想外の出来事から起こるのかも知れない。
一金融機関の破綻劇という、局所的なイベントではなく、
世界経済全体として、今後の動向からも目が離せません。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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