今日のテーマは、『名門クレディ・スイスの経営破綻が、世界の金融業界に与える衝撃』です。
直近一週間、名門クレディスイスが大きく揺れています。
タイトルでは、
インパクトがあるように『経営破綻』と表現しましたが、
金融大手・UBSの買収交渉に合意したと報じられました。
買収額は30億スイスフラン、円換算で約4200億円。
1856年、
スイスの鉄道システム開発の資金調達を目的に設立され、
160年を超える歴史を誇る世界金融では老舗中の老舗。
現在では、
投資銀行部門、富裕層マネー運用部門も世界的に有名で、
日本のメガバンクとは、規模・格付共に一線を画します。
かつて、
格言『Too Big to Fail』の代名詞の1つとされた同行も、
金融業界に流れた信用不安の濁流に飲み込まれた形です。
確かに、
近年は、投資部門を中心に不祥事が相継いでいましたが、
まさか、買収を迎える瞬間が来ると想像しませんでした。
私自身、
同行が組成するファンドは投資選択として常にあった為、
動乱の被害がなかったのは紙一重、他人事に思えません。
今回、
最も市場を騒がせるのは、クレディ・スイス買収に伴い、
発行債権『160億スイスフラン』が無価値化すること。
日本円換算で、総額『2.2兆円』を超える超巨額債券で、
文字通り、債権者がそのまま被害を被ることになります。
対象となる『AT1債』は、
『通常の債権』と『株式』の中間に位置する性質を持ち、
発行体の自己資本引き上げを目的に活用されたりします。
一般的に、
発行体(クレディ・スイス)が破綻した際の弁済順位は、
普通債券に比べて低く、リスクが高い対象とされている。
現在、
市場で問題視されるのは、本来は順位の低い普通株式が、
『AT1債』よりも優先して救済されようとしていること。
具体的には、
株主は株式交換によりUBS株を受取ることになる一方、
AT1債保有者の債権価値は『ゼロ』に切り下げられる。
欧州全体で、
AT1債の市場規模は『36兆円』ほどと言われますから、
今回の騒動の衝撃の大きさが、ご理解頂けると思います。
奇しくも、
昨夜21日の米国市場に続き、本日22日の資本市場は、
信用不安の和らぎから、大きく反発して取引を終えます。
しかし、
前述の問題を含めて、まだ、波乱は何も解決しておらず、
市場動向を注意深く見守らなければならない日々が続く。
名門金融機関の実質的破綻は、歴史的出来事と言えます。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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代表 井上耕太