今日のテーマは、『2024年度予算の概算要求に見る、金利コントロールの悩ましい現実』です。
8月24日、
財務省に対する、2024年度予算概算要求が公表され、
一般会計総額で、3年連続の110兆円超えが判明した。
ご存知の通り、
概算要求という段階は予算として最低水準と言えるため、
最終的には、今年度の最高額を超える可能性も十分ある。
*2023年度の一般会計予算は114兆3812億円。
2016年に初めて『100兆円』の大台突破して以来、
日本国の運営コスト(一般会計)は肥大化し続けている。
対して、
歳入(税収)は、過去最高と言えど70兆円そこそこで、
歳出とのギャップは毎年『40兆円』ずつ生み出される。
つまり、
日本国は『1000兆円超え』の累積債務を抱えながら、
プラスαとして毎年新たな債務を産出し続けているのだ。
少なくとも30年前、
平成の初期段階から『財政健全化』が叫ばれていますが、
残念ながら事態は好転せず、実体は全く伴っていません。
話を戻すと、
現在の一般会計において、全体約3割を占めているのは、
厚労省予算、つまり社会保障費で『33.73兆円』です。
こちらも、
最終的に『約37兆円』まで膨張していく見込みですが、
高齢化が進展する日本で、この部分は絶対に減りません。
その他、
前年比として10%強の伸び率を誇るのは『防衛費』で、
防衛力強化の為、過去最大の7.74兆円が計上されます。
そして、
防衛費と並んで、もう一つ躍進する予算が『国債費』で、
想定金利を1.5%に引き上げ、28兆円超を計上します。
昨年12月以降、
YCC(*)の修正による実質的な利上げが起こっており、
直近、10年ものの国債金利は『0.65%』前後に上昇。
*YCC:イールドカーブ・コントロール。長短金利操作。
もちろん、
これは、欧米諸国の政策金利の水準に遠く及びませんが、
2000年以降の日本においては、最高水準の推移です。
本来であれば、
世界的利上げの最中、日本も欧米を追随したいのですが、
天文学的な累積債務の存在が、簡単にそれを許しません。
事実、
前述の通り1%に満たない水準に金利上昇しただけでも、
想定以上に、日本のデフォルトリスクは加速するのです。
将来を見据えた時、
緩和を継続するのか、適正レベルまで引締めに転ずるか、
誰も正解を見出せぬまま、日本の迷走は続いていきます。
——————————————————————–
2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太