今日のテーマは、『最適化戦略としての株式比率100%は、果たして極論と言えるのか』です。
古今東西、
伝統的・代表的な投資対象としての株式・債券をめぐる、
資産全体に占める両者の保有比率の検討は議論の的です。
古くから広く知られ、
黄金律とされる『60 / 40』ポートフォリオ理論では、
株式60割・債券4割が最善策のと考えられてきました。
また、
以前の公式ブログでは、別の考え方として、株式比率は、
『100ー年齢』を基準値とする方法を紹介しています。
これによれば、
30歳の人は『70%』が、50歳の人は『50%』が、
総資産に占める株式比率として最適解と導かれています。
恐らく、
運用方式におけるアクティブ VS パッシブ論争と同様に、
株式・債券比率に関するそれも、決着は来ないでしょう。
しかし、
ここに来てそもそも両者の最適比率を探るという行動に、
『一石を投じる』可能性のある論文が公表されています。
それは、
過去130年間、30を超える国・地域で検証した結果、
『株式比100%』としたポートフォリオの運用成績が、
株・債券混合した分散ポートフォリオに勝るというもの。
同調査では、
米国家計を対象として100万回シュミレートした結果、
退職時資産として前者が100万ドル達成したのに対し、
後者(*)は76万ドルに留まったことも示しています。
*株式/債券=60%/40%とした分散ポートフォリオ。
ただ、
この結果自体には、何も目新しいものは含まれておらず、
少しだけ冷静に考えてみれば『当たり前』と分かります。
何故なら、
債券よりボラティリティ(変動)が大きくなる株式では、
利回りが高くなければリスクを引受ける人がいないから。
必然、
『株式100%』で埋め尽くされたポートフォリオでは、
若干でも債券を組み込むものより運用成績は向上します。
それでは、
長期的視点で、歴史上・理論上正しいからという理由で、
株式100%ポートフォリオは正当化されるでしょうか。
問いに対する回答は、実に悩ましいというのが本音です。
何故なら、
株式100%ポートフォリオは理屈として正しいものの、
それを扱うのが人間という『不完全な存在』だからです。
このあたり、
恐らく皆さんも過去の経験から実感・自覚があるように、
私たちは、日常多くの場面で選択・判断ミスを犯します。
運用に関して言えば、
変動する株式市場において上昇相場で買い増してしまい、
暴落が起こった際には売り捌いてしまうのが世の常です。
しかし、
資産形成(株式投資)に臨む上で真理はその行動の逆か、
上昇・下落に関わらず淡々と資産を積み上げていくこと。
最後になりますが、
タイトルに採用した『株式100%ポートフォリオ』は、
私たちが資産形成する上で最適化戦略として成立します。
ただし、
それを本当に『最適化戦略』として機能させるためには、
私たちが『邪念』から解放される条項が含まれています。
必要条件として、真実もきちんと理解しておきましょう。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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