今日のテーマは、『ロシアーウクライナ戦争により、基軸通貨:米ドルの牙城は崩れるのか』です。
過去にも、
プラザ合意に始まり、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、
サブプライム・ショック等々の経済危機が起こるたびに、
『米ドル』の一強時代が終焉する事は囁かれてきました。
そして、
ロシアーウクライナ戦争が開始して早くも2年が経過し、
今回もその話題(米ドルの終焉)が賑わい始めています。
簡単に情報を整理すると、
戦争開始後、日米欧はロシアへの経済制裁の一環として、
約3000億ドル規模のロシア中銀資産を凍結している。
実に、
日本円に換算して約45兆円に上る巨額資産の大部分は、
ブリュッセルの国際決済機関・ユーロクリアに眠ります。
また、
米国は同国内で凍結中のロシア公的資産:数十億ドルを、
正式に没収してしまうと上院の賛成多数で承認しました。
もちろん、
これらの経済制裁はロシアにとって痛みを感じるもので、
この仕打ちにより、窮地に追い込まれている部分もある。
しかし、
米国がノーリスクかと言えば、そこまで話は単純でなく、
少なからず自国通貨『米ドル』の首も締めつつあります。
何故なら、
敵対した際、簡単に資産凍結されてしまう判例を作れば、
各国が外貨準備として保有量を減らす可能性があるから。
確かに、
経済制裁は即効性があり、発揮する影響力も絶大ですが、
使い手にとっても必ず痛み伴うため、正に諸刃の剣です。
実際、
そのリスクは、ECB専務理事の中にも気付く人物がいて、
『通貨の兵器化は魅力を落とす』と警鐘を鳴らしている。
ロシアに話を戻すと、
直近2年間、モスクワ取引所は劇的な変化が起きていて、
首位を誇った自国通貨ルーブルと米ドルの取引シェアが、
2022年1月時点の85%から30%へと急激に減少。
対照的に、
大きく攻勢を強めているのは、隣国の通貨『人民元』で、
1%未満だった取引シェアは、2年間で40%に急上昇。
さらに、
SWIFT(国際銀行間通信協会)から強制で締出した結果、
ロシアは自前決済網(SPFS)を順次拡大しつつあります。
このような視点で見ると、確かに牙城は崩れていますね。
それでも、
IMF(国際通貨基金)公表によると各国が保有している、
外貨準備として『米ドル』の比率は未だ6割を誇ります。
加えて、
貿易決済は約5割、外国為替取引は全体のおよそ9割と、
現在の世界経済において『米ドル』は圧倒的な力を持つ。
自然界には、
エントロピー増大なる法則があり、その支配を受ける為、
人為的なものも含めて時間経過と共に拡散は起こります。
もちろん、
将来的には必ず『米ドル』が終焉する日も到来しますが、
2024年、その牙城が一気に崩れることはありません。
リスクに注意を払いながらも過度に悲観することは禁物。
一喜一憂することなく、長期視点で資産形成しましょう。
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2023年1月より【セミリタイア生活】に入っており、
オープン形式の【資産形成セミナー】の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太