今日のテーマは、『後期高齢者医療制度の保険料引き上げに見る、日本の社会保障システムの危うさ』です。
2025年も今日を含めて残り一週間となり、来年のお金まわりの話も慌しくなってきました。
その中でも強く興味を惹かれたものの一つに、75歳以上の方々が加入する後期高齢者医療制度で、2026年度から年間保険料の上限を85万円に引き上げる(現行80万円)というものがあります。
これ(後期高齢者医療制度)は老人保険制度を前身として2008年4月にスタートしたものですが、当初の年間保険料の上限50万円から、20年経たずして上限額が7割アップしたことになりますね。
上限額に達するのは年金収入や給与収入等を合算して年収1150万円を超える方々で、加入者全体に占める割合は1.2%ほど。
現時点、国内の75歳以上人口は約2155万人と言われていますから、概算になりますが日本全体で約26万人の方々が該当(年間保険料85万円)することになります。
一般的に考えて十分な収入があるとは言えど、年間85万円・10分割(5月〜翌年3月)して月額8.5万円の保険料負担は、決して無視することのできない大きな金額なのではないでしょうか。
因みに、現役世代の方々が加入する健康国民保険料の上限額は現行ルールで年間109万円とされており、引き上げられた後期高齢者医療制度の保険料上限額はその約7割に相当します。
今回の決定により、中間層の保険料は前年比4.2%増に据え置かれる(?)ことになり、上限額を引き上げない場合(前年比5.3%増)と比較して抑制効果を発揮するというのが厚生労働省の言い分です。
それでも、中間層の保険料も年間約30万円と算出されており、400万円ほどの年収からその他の各種税金が差し引かれることまで考慮すると、決して楽に支払いができる数字ではなさそうです。
一昔前であれば、高齢者を対象とする社会保険料はかなり優遇されている印象がありましたが、善悪の話は別として、現役世代と遜色ないレベルまでジリジリと引き上げられてることを実感します。
もちろん、政府(政治家・官僚)も可能な限り負担を軽減するよう尽力してくれているはず(そう信じたい)ですが、高齢者の保険料まで引き上げざるを得ない状況に現代の日本は置かれています。
なぜなら、現在進行形で進んでいる日本の少子高齢化は、すでに過去に経験したことのない異次元の領域に突入しており、現行制度をそのまま維持するだけでは早々に破綻を迎えてしまうから。
必然、この惨状はここでストップするはずもなく、話題に上がる後期高齢者医療制度の保険料はもちろん、現役世代を対象とした社会保険料もまだまだ上昇していくことが『確定』しています。
日本の社会保障システムが、本格的な『危機』を迎えるのはこれからが本番。
日本人(日本居住者)にとっては更に厳しい時代がやって来ることを、私たち国民サイドもきちんと想定して、建設的な解決策(自助努力による資産形成)を講じておくほうが良さそうです。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





