今日のテーマでは、『2025年度の年金改革では、遂に聖域にもメスが入れられる』です。
先週の公式ブログでは、
『急速に崩壊する社会保障に気付いてますか』と題して、
1年半後に迫る、年金改革について少しだけ触れました。
改めて言うまでもなく、
健康保険・年金に代表される日本の社会保障システムは、
年々、加速度を増して『破たん』へと突き進んでいます。
かつて、
『100年安心』をキャッチフレーズに創設した制度は、
社会的背景の激変に耐え切れず100年を待たずに終焉。
確かに、
年金記録の消失等、杜撰な管理体制の問題もありますが、
人口ピラミッド崩壊の今、破綻の主因は構造的欠陥です。
これについて、
最終的な責任がどこにあったとか、誰にあったのだとか、
その現実について善、悪を議論するつもりはありません。
ただ、シンプルにそれ(年金破綻)が事実だということ。
何故なら、
少子高齢化が世界トップ水準で進む日本では、納付者と、
受給者の『逆転現象』が今後30年を目処に必ず起こる。
年金破綻の説明に、難しいロジックなど必要ありません。
単純に『入』が少なくなり『出』が多くなるという必然。
引き算しか必要ない為、小学生でも理解できる内容です。
10月24日、
厚労省・社保審議会の年金部会は国民基礎年金について、
保険料の納付期間を5年間延長する議論を開始しました。
これまで、
『60歳』までとした納付期間は『65歳』に延長され、
年金保険料の負担総額は『約100万円』アップされる。
既に、
厚生年金は加入期間が『69歳』までに延長されており、
厚労省の言い分は『会社員の追加負担は発生しない』と。
しかし、
これは完全なイメージ戦略で正しい表現ではありません。
何故なら、
60歳を機に退職すれば国民年金に加入する必要があり、
厚生年金の源泉徴収が前提化されているだけだからです。
結論、
年金保険料の支払い期間は、それぞれの立場に関係なく、
全国民対象で『65歳』に延長される運びとなりました。
次に、少し視点を変えて、経済的合理性を考えましょう。
現行、
年間保険料が『約20万円』とされる基礎年金について、
受給を開始してからの『損益分岐点』を計算してみます。
こちらも、
決して難しい計算など必要なく、支払う保険料の総額は、
20万円に40年間を乗じて算出される『800万円』。
そして、
現行で基礎年金の満額支給額は『月6.6万円』ですから、
損益分岐を迎えるタイミングは『10年』と分かります。
それでは、納付期間が5年延長されたらどうでしょうか。
仮に、
希望的観測を持って、受給額を『月6万円』とするなら、
損益分岐は『12.5年』まで延長されることになります。
この結果を見て、
『78歳まで生きればもと(保険料総額)が取れる』と、
もしもあなたが考えたとすれば、その見立ては甘いです。
何故なら、
2025年度年金改正の本丸は、受給開始年齢の繰延で、
納付期間同様、5年間の後ろ倒しが予想されているから。
実際に、
『60歳定年制』を前提としながら年金支給開始年齢が、
『65歳』に設定された時代は、最近まで存在しました。
つまり、
納付期間が『65歳』であれば、5年のブランクを経て、
支給開始を『70歳』としても全く不思議でない訳です。
悲しき哉、この流れはこれが最後では決してありません。
今後も、日本の年金制度の『改悪』は継続していきます。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太