今日のテーマは、『株式市場に暴落が訪れたとき、安全資産としての有事の金は機能するか』です。
これまで過去最高値を爆速で更新しつづけてきた金(Gold)ですが、週明け、突如として取引価格の下落がスタートしました。
コロナ禍を経て、2023年4月に1トロイオンス=2000米ドルを突破したときは大きく騒がれましたが、その後、わずか3年も経たない間にその取引価格は当時の2.5倍に迫るまでに上昇。
現時点、1トロイオンス(約31.1035グラム)あたり4800米ドル(80万円弱)前後で取引されており、価格の推移を示すグラフはロケットを発射するが如く爆進している状況にあります。
しかし、次期FRB議長にケビン・ウォーシュ氏が指名されたことが報じられると、今後の経済政策が市場が予測していたものと異なるという見方が広がりそのトレンドは急転。
週明け2日、国際基準となる米・ニューヨーク市場で先物価格が急落したほか、日本国内における円ベースの取引価格も前営業日の(1グラムあたり)3万円台から2万5000円を割り込む寸前まで約15%下落しました。
大阪証券取引所の昨日(2日)午前の取引では、サーキットブレーカーが発動して取引が強制終了させられる事態にまで陥っています。
今回、金価格急騰の一翼を担ったとされるのは、一般家庭の主婦までもが熱狂しているとされる(超)レバレッジ志向の中国人・個人投資家の存在です。
今は昔、日本円が世界最強通貨として君臨していた時代がありましたが、当時、莫大な数を誇る日本人個人投資家は世界から『ミセス・ワタナベ(*)』と揶揄されていました。
*具体的な実体を掴むことのできない『大きな存在』を形容した表現であり、現実には女性だけに限定されず、男性の個人投資家も莫大な数がFX取引に熱狂していました。
取引対象は異なるものの当時と今は非常に酷似した状況にあり、市場参加者が翻弄されている見えざる大きな存在に名前を付けるとすれば『ミセス・リュウ(劉)』といったところでしょうか。
本題から逸れるため詳細な説明は避けますが、ボラティリティ(変動幅)の大きなコモディティ(商品)市場でレバレッジ取引をすることは、漫画・カイジさながらの『命』を懸けたリスク・テイクを意味します。
先ほど、日本国内の1グラムあたり取引価格が3万円台から2万5000円そこそこまで急落したと紹介しましたが、自己資金のみでトレードしている場合は単純に損失を被るだけ(?)で済みます。
しかし、仮に1000万円を元手に20倍のレバレッジを掛けて取引していた場合、先ほどの事例とまったく同じ変動にも関わらず、元手を吹き飛ばして一瞬で2000万円超の借金を背負うことになるのです。
もちろん、そういった人間が多数派を占めるとは言いませんが、今回の(ちょっとした)変動では少なからずそのような人たち(レバレッジ個人投資家)も含まれていたと推測しています。
古今東西、安全資産として人類に愛され続けてきた金(Gold)ですが、大原則として、その取引価格が市場の需要・供給バランスにより成立(決定)されていることを改めて認識させられます。
先ほど触れた通り、初期微動だけで強制退出させられた人間(個人投資家)が数多く含まれていることを考慮すると、もしかしたら金市場は株式市場以上のリスクを孕んでいるのかも知れません。
現在の株式市場が『バブル』の階段を少しずつ上っているのは間違いありませんが、その暴落が始まったとき、果たして安全資産としての『有事の金』は今回もこれまで通りに機能するでしょうか。
個人的な見解としては、限りなく怪しく感じながらその動向を見守っています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太






