今日のテーマは、『所有欲の歪みを持つ人が成功を求めても、幸せにはなれない残酷な現実』です。
冒頭、予めお断りしておくと、ファイナンシャル・プランナーらしからぬ話題を展開します。
世間一般の漠然としたイメージとして、ファイナンシャル・プランナーという職業は(個々の専門分野に差こそあれ)資産形成、つまり『お金』を増やすプロと考える人も多いのではないでしょうか。
そして、同様に一般の方々の多くが誤って認識していることがあるとすれば、経済的成功を収めることが出来れば、要は『お金』をより多く保有することができれば『幸せ』が手に入るという幻想です。
先ずはじめに残酷な現実からお伝えすると、その認識は残念ながら間違っています。
もしも、経済的成功を収めた方々に話を聞く機会があれば分かると思いますが、彼ら・彼女らはそれ(お金)を人生全体の8〜9割の苦痛・不快感を回避するツール(道具)としか考えていません。
と言うことは、必然的に1〜2割の苦痛は(お金があっても)避けられないことになり、また、それ(お金)自体が私たちに『幸せ』をもたらすものではないことが理解できると思います。
先日、精神科医として少年犯罪者たちの更生に尽力し、現在は立命館大学大学院人間科学研究科で教授を務められる宮口幸治さんの書籍を拝読する機会がありました。
その中で、怒りの歪み・嫉妬の歪み・自己愛の歪み・所有欲の歪み・判断の歪みは人々を間違った幸せに導いてしまい、場合によっては犯罪者へと変えてしまうという記述が印象に残っています。
特に、所有欲の歪み(過度に所有欲を追求すること)は『お金』の分野にも直結していますよね。
先月から3回ほどプルデンシャル生命の現役・元社員が起こした31億円搾取事件について触れていますが、この事件も『お金』に対する過度な執着と所有欲の歪みがもたらした結果と言えます。
恐らく、知能指数の高い方々は常日頃から理解されていることですが、突き詰めて考えると、この世の中に私たちが『所有できるもの』など何一つとして存在していません。
例えば、マイホーム(居住用不動産)を所有していると『誤認』している人も多いと思いますが(土地を購入していたとしても)現実には期間を定めず『賃貸』していることと変わりありません。
その証拠に、それを所有(賃貸?)することに対する賃料(固定資産税等)は毎年発生・請求されていて、その要求に対して応じなければマイホームに住み続けることは出来なくなってしまいますよね。
また、少し考えれば分かることですが、私たちが亡くなる時(仮にあったとしても)あの世に持って行けるものなど一つもありません。
それでは、資産形成が無用の長物なのかと言えば、まったくそうは考えていません。
私自身、なぜ資産形成をしているかと問われれば、人生において最重要視する価値観である『自由』を生きている間に謳歌していきたいからと即答することが出来ます。
近しい間柄の方々は理解されると思いますが、所有欲はほとんどありません。
実際、誕生日等で周りの方々から『欲しいもの』を質問されるのが人生において最も難問で、基本的には無いし、もしあったとしても自分で購入できるのでリクエストするに至らないこともしばしばです。
もちろん、私自身は決して聖人君子ではありませんが、少なくとも『所有欲の歪み』から解放されていることで、自らが最も求めていた『自由』を謳歌できていることも事実です。
あなたは、『所有欲の歪み』という名の呪縛に囚われてしまっていませんか。
それを保持したまま経済的成功を追い求めても、その先に『幸せ』がないことは早めに理解しておくと良いかも知れません。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





