今日のテーマは、『アイルランドが税収を望まない理由』です(^_^)★
昨日は、これからの『資産形成』のトレンドの話で、
少しだけ『オフショア金融センター』の話をしました(^_^)
・スイス
・ルクセンブルク
・アンドラ
・リヒテンシュタイン
・モナコ
・ドバイ
・バーレーン
・サモア
・バヌアツ
・クック
・ケイマン
・バミューダ
・バージン諸島
などなど。
世界に散りばめられた、
約40以上に上る国と地域のことです。
これらの国に共通するのは、
人口・土地・資源・産業が少なく、
『国』『自治地域』として存続し得る最小単位ということ。
なので、
各国政府も国としての『生き残り』をかけて、
様々な政策を行って活路を見出そうとします。
そこで、
1つのトレンドとなっているのが、
『オフショア』『金融センター』という選択。
様々な税金を低く抑えたり、
場合によっては『0:ゼロ』にすることで、
世界から『人』『物』『金』『企業』を呼び込む戦略です。
今日の話の舞台、『アイルランド』もそう。
この国では、各種税率を低く抑えることにより、
実際に米国籍だけで700社を超える企業を呼び込み、
国内に『14万人』に新たな雇用を生み出したと言われます。
法人税の最高税率は『12.5%』。
日本も最近は低くなってきてますが、
それでも最高税率となると『30%代』と倍以上です。
他の先進諸国も同程度なので、
この地域を活用する企業の恩恵は大きなものです。
で、
3ヶ月ほど前にあるトピックが出ました。
『アップルに対して、EUが追徴課税を求める。』
アップル社が非合法に?(とEU・米国は言ってる)節税した部分に対して、
彼らが求める正式な?ルールで追徴課税する、と。
その金額、実に『130億ユーロ:約1兆4000億円』。
この問題の面白いところは、
『EU』がうちに納税しろ!と言っているのではないこと。
今回の『EU』の主張は、
法人登記している『アイルランド』に対して新たに税収を納めよ、と命じています。
これに対して、さらに面白い反応がありました。
もちろん、『アップル』社がネガティブな反応をするのは当然です。
同社が主張するのは、活用した節税スキームは完全に『合法』であり、
むしろ、『税法』の方が多国籍企業に対応しない『古びたもの』になっている、と。
面白いのはここからで、
税収を徴収できる側の『アイルランド』さえも、
この『EU』の主張を拒んで、追徴課税を受け取らない、と言ったのです。
もう一度言いますが、
『EU』が命じた追徴課税額は『1兆4000億円』。
国家全体の『GDP』が約『26兆円』そこそこの国において、
『1兆4000億円』の追加税収はかなりの金額です。
日本の場合のGDP比に直したら、
これは『約30兆円』もの金額になります。
日本政府だったら喜んで受け取るでしょうし、
その金額あれば、毎年垂れ流してる借金への補填にも充てられます。
では、なぜ『アイルランド』は拒むのでしょうか??
それは、
ここで追徴課税を受け取ってしまうと、
『オフショア』としての『プレゼンス低下』を意味するからです。
ここまでの話でわかるように、
世界的な他国籍企業は『法人税』を抑える目的でオフショアに登記します。
表向きの最高税率も低く抑えられていますが、
実際は様々なスキームを活用してより低く抑えることが出来る。
これをアピールして来てもらいたいのに、
ここで追徴課税を受け取ってしまったら逆行です。
確かに、
国家財政に影響しうる『税収』を受けることは嬉しい。
しかし、
ここで一時金として受け取ってしまうことで、
将来的に受けられるメリットが享受出来ないとしたら??
世界的な優良企業が出ていくことで雇用が失われ、
当然、経済活動が縮小すれば、そこで発生し得た税収も落ちます。
こういった『長期視点』で考えた時に、
今回の決定はアイルランドに取ってもデメリットが大きい。
そんな事情があって、追徴課税を両者が拒んでました。
世界では、こんなことも起こっています。
少しずつ、視点を外に向けて見ると、
もっと興味深く世界が見えてくると思います(^_^)★