今日のテーマは、『金融先進国・スイスの決定が暗号資産(仮想通貨)の未来を左右する』です。
昨年末、個人的に興味を惹かれる動きが1つありました。
それは、
中銀が準備金の一部としてビットコインを保有するよう、
スイスで法律改正の提案(イニシアチブ)があったこと。
これは、
暗号資産(仮想通貨)を保有・支持する人たちを含めた、
10人で構成されるグループにより提出されたものです。
もちろん、
この提案を以って議案が即採決されるようなことはなく、
『10万人規模』の署名を集めることが出来て、初めて、
オフィシャルな国民投票のステップへと移行ができます。
今回の件に限らず、
スイスでは連邦法を改正する立法イニシアチブに関する、
国民投票が定期的に開催されているというのが実情です。
と言っても、
国民投票は順調に進んだとして来年(2026年)後半、
若しくは、再来年(2027年)に実施されるのが妥当。
間違っても、年内にどうこうなるものではありませんが。
以前から、
中銀にあたるSNB(スイス国立銀行)は、先進諸国同様、
暗号資産(仮想通貨)に懐疑的な姿勢をとって来ました。
実際、
昨年11月には、ビットコイン等の代表通貨に対しても、
総裁自らの声明で、慎重な姿勢を改めて強調しています。
しかし、
もし仮に、国民投票を経て、今回の提案が採決されれば、
準備金として一定以上の保有が正式に義務付けられます。
実現すれば、影響は一国に留まらず世界に波及していく。
2021年、
中米に位置する小国・エルサルバドルが、世界で初めて、
法定通貨にビットコインを導入して話題を集めましたね。
しかし、
同国の財政状況は同地域にある他の途上国同様に脆弱で、
財政難から一発逆転を狙う、ギャンブル紛いの苦肉の策。
語弊を恐れず言えば国際的なプレゼンスもほぼ皆無です。
片や、話題に挙げるスイスは言わずもがなの金融先進国。
今でこそ、
世界の富裕層の移住人気No. 1は他国に譲っていますが、
未だ首位グループに君臨することは疑いようありません。
仮に、
法案が成立すれば、暗号資産の市場価値の上昇に加えて、
同様の法改正を他国が追随する可能性すら十分あります。
繰り返しますが、
結論が出るのは物ごとが順調に進んで2026年後半か、
妥当なペースで進められたとして2027年以降のこと。
緊急性はそう高くないながら、重要性は極めて高い案件。
第二領域に属する動向からも、しばらく目が離せません。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太