今日のテーマは、『日本人の金融リテラシーが上がる時まで』です。
今、仕事で香港に来ています。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
現在、中華文化圏は『春節(旧正月)』前の慌ただしい時期。
今回の香港渡航も一苦労あって、
2018年、年初早々に手配を進めようとすると、いつもの便が完全満席。
ホテルの空きも少ない状況で、一時、渡航を諦めかけました。
繁忙期であるシーズンに加えて、
所得が少しずつ上がってきた海外の方々の間で、海外旅行が流行してるんですね。
こちらもご存知かも知れませんが、
2016年1年間で、香港は世界から集まった観光客数第1位。
街中は夜中でも女性が歩けるほど治安も良く、
買い物も出来て、観光もあり、料理も(海外としては)美味しい。
こんな要素が揃っていれば、この結果にも納得できますね。
そんな事情もあり、現在、多くの人が香港に来ているのですが、
海外旅行者の殺到ぶりは、数十年前の日本人さながらです。
香港に何度か渡航した経験のある方はわかるでしょうが、
現地の方々は、公共の場でタバコを吸う人も少なければ、お酒を飲むこともありません。
飲食店に入る際も、『Do you have beer??』と確認しなければ、
現地民対象のお店では、ビールすら置いてないことも。
どうやら、『人前で酔う』ということを恥じる文化があるらしく、
店内を見ても、夕食時でも基本皆さん種類を飲んでいません。
こういった要因も関係あるのかわかりませんが、
現在、香港人の平均寿命は、日本人を凌いで堂々の世界トップ。
必然、彼らが病気等になるリスクも低いことが予想されます。
ここから一気に香港の話は関係なくなりますが(笑)、
普段、クライアントさんの個人面談をお受けしていて、
やはり、日本人の『保険信仰』には凄まじいものがあると感じています。
『預貯金ゼロ世帯』も年々増加している現状ですが、
『ゼロ』とは言わないまでも、十分な金融資産を持たないにも関わらず、
毎月の支出に占める『保険』の割合が高い方々も多々いらっしゃいます。
保険会社のCMトレンドにも大きく影響を受けていて、
人昔前は一般的な『生命保険』加入者が主でしたよね。
それも飽和に達したら、『ガン保険』『医療保険』『収入保障保険』と、
保険会社も手を変え、品を変え、巧みに消費者を誘惑してきます。
それで、
ストレートに言うと、私は全て必要ないと考えるのですが、
その中でも、私が日々理解に苦しんでいるのが『医療保険』という摩訶不思議商品です。
*事実、私は任意保険に全く加入していません。
*ただし、これは経済的基盤があることにも由来しています。
いや、正確に言うと、『医療保険』自体は摩訶不思議でもなんでもないですね。
『入院日額1万円!』などとCMで叫んでいますが、
そのシステム自体は、比較的わかりやすいと感じています。
私が『摩訶不思議』だと感じているのは、
このリターンが低い保険商品に、加入する方々が多く存在していることです。
この記事を読んでくださっている方々の中にも、
もしかしたら、『医療保険』に加入している方がいるかも知れませんね。
その方々にお伺いしたいのですが、
あなたが加入する『医療保険』、実際に活用したことはありますか??
いや、ほとんどの方が『経験無し』だと思うんです。
現在、日本の病院ではガン患者さんでさえ通院治療が重で、
よほど重病・重賞でもない限り、『入院』なんて大それた事をさせて貰えません。
また、
仮にあなたが『入院』のチャンスを掴んだとしても、
数日間の治療期を終えて、早々に退位させられるのがオチでしょう。
実際、
厚生労働省発表のデータによると、
入院患者のうち『4日以内』の入院は全体の約33%、
『7日以内』の入院で約50%を占める結果となります。
男性の皆さん、ナースさんとの淡い恋への発展は諦めましょう(笑)
このように、現在の日本では『入院』する機会などほとんどなく、
必然、任意加入の『医療保険』を活用する場面など少ないのです。
加えて、
『高額医療制度』や、会社員の方々であれば『社会保険組合』の特典もあり、
それらがカバーしてくれる範囲を超えて、自己負担が莫大になるリスクはさらに下がります。
さらに加えて、
最近それを加速するであろうニュースも出て来ていて、
診療・介護の両報酬改定が重なる2018年度、『脱入院』の流れが加速するようです。
これまでも慢性期病棟の診療報酬を低くしたり、
病院経営の観点からも『脱入院』政策を進めてきた国ですが、
今後更に、入院の必要性の低い高齢者も退院を促す方向に移るのです。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年を前にして、
国の財政が破綻する『Xデー』を、少しでも先延ばしする為に躍起です。
話を元に戻すと、
こういった国全体とした流れがある中で、
『医療保険』は今後ますます必要ない可能性が高いと思うのです。
*日本の国民皆保険制度が完全に破綻し、
米国のような完全個人主義の医療制度になってしまった場合は別。
一説によると、微差はあるものの、『医療保険』のリターン期待値は『0.6』程度。
つまり、
もしあなたが月額『4000円』の医療保険料を支払っていたら、
その瞬間に、月額『1600円』ずつを廃棄していっているという事。
これなら、同金額をクッキーの缶詰に貯めていった方がマシですね。
宝くじのリターン期待値が『0.5』ほどですから、ほぼ変わりません。
『医療保険』に加入することの摩訶不思議さが、少しでも伝わったでしょうか??
これが、日本人が(思考停止状態で)こぞって契約する、任意加入の『医療保険』の実態です。
少し大それた話になってしまいますが、
日本人の『金融リテラシー』が上がる時まで、
少しでも貢献出来るように情報発信して行きたいと思っています。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太