今日のテーマは、『かぼちゃの馬車問題を知っていますか??』です。
皆さん、このタイトルに反応できますか??
今、世間を賑わせている『かぼちゃの馬車』をご存知でしょうか??
スマートデイズ社によるサブリース契約で、
『東京都内・女性限定シェアハウスビジネス』と言えば、ピンとくる方も多いと思います。
すごくシンプルに説明すると、次のような構図です。
オーナー(投資家)が金融機関から融資を受けてシェアハウスを建設し、
この物件を『スマートデイズ社』とサブリース契約締結し、家賃収入を得る。
勿論、
オーナー(投資家)には金融機関への融資返済義務が発生しますが、
サブリース契約から得られる賃貸収入で、これは賄うことが出来る。
収支トントンならこの話に乗る人間は居ませんが(そう願いたい。)、
当初の話では、融資返済しても尚、『収益』が手元に残るはずでした。
スマートデイズ社は『家賃保証システム』を謳っていたようですから、
そのことも、オーナー(出資者)増加の大きな一因だったと考えます。
しかし、
実際はこの会社からの賃料振込はほぼ実行されず、
昨年(2017年)10月にはオーナーに対して賃料減額を突然通知。
そして、
今年(2018年)に入ってから2回に渡り開催された説明会では、
賃料支払いは実質ゼロ、支払い能力がないことが発表されたのです。
現在の代表者が述べるところによると、
『当初から、ビジネスとしての見通しが甘過ぎた。』と。
2012年8月の会社設立から約5年ほどで、
東京都内に『10000室』ほどのシェアハウスを保有し急拡大していく中、
実際の入居率は、『50%』にも満たなかったとも言われています。
これでは、とてもじゃありませんが、オーナーへの『賃料支払い』は不可能ですね。
*元々のビジネスモデルが、暴利だった場合を除く。
この社長が言うように、
当初描いていたビジネスモデル自体が早々に破綻していたようで、
以前からのオーナー(出資者)への『家賃支払い』を実行する為、
最近まで新規オーナー募集を行っていたようです。
気付かれた方もいらっしゃるでしょうが、
これは完全なる『ポンジ・スキーム』と言われる出資法違反詐欺。
それを平然と言ってのける社長の肝の座り方も大したものですが、
『なぜ、この人物(会社)が逮捕されずに存在しているのか??』という、
とてもシンプルで素直な疑問も湧いてきます。
これは、『金融』という世界の、本当に『摩訶不思議』なところですね。
私が身を置く純粋な『金融』の世界と同様、
『不動産』という業界も、少なからず『詐欺』が横行することは周知の事実です。
なぜ『詐欺』が起こりやすいかというと、
プロバイダ(胴元)と投資家(出資者)の間で、情報格差が大きく生まれるからです。
皆さんも容易に想像がつくと思いますが、
『不動産』というのは完全なる『クローズド・マーケット』で、一般人には決して身近でない業界。
私のクライアントにも『不動産投資』を希望される方がいますが、
そう言った方々には、次のようにアドバイスさせて頂いています。
『自身がインサイドの情報にアクセス出来る自身がない場合、辞めておいた方が良い。』
わかりやすく言うと、
あなたが不動産業界に精通した信頼おける人物と、
先方の『お客さん』としてではなく繋がる、『人脈』を持っているかどうかです。
事実、
今回の『スマートデイズ社:かぼちゃの馬車問題』でも、
オーナー(出資者)のほぼ全てが、会社員の『素人投資家』という状況でした。
はっきり言って、『プロ』であればこんな話、乗りません。
その世界の『常識』を持っている人間からしたら、『子供騙し』にもならないからです。
この問題を傍観していると、複数の『責任者』がいることがわかります。
まず、
1人目(?)の責任者は『スマートデイズ社』本体。
『ポンジ・スキーム』を仕掛けて実行した真犯人ですので、
読者の皆さんも、ここには意義なく受け容れられると思います。
当初は崇高なビジネスにおける思想があったのかも知れませんが、
現在の状況を考えると、決して言い逃れはできないと考えます。
そして、
2人目(?)の『責任者』は、
『オーナー(素人投資家)』達へ融資を決定・実行していた『金融機関』です。
個人的には、ここの『責任』は相当に重いと考えます。
一説によると、
『オーナー(素人投資家)』の方々の融資額は、
1人あたり平均で『1億3000万円』にも上ると言います。
一般的な話として、『会社員』としての信用を利用して、
金融機関から融資を引っ張れる限度額は、『年収の10倍』が目安になります。
この基準値から考えると、
この『素人投資家』の皆さんの平均年収は、『1300万円』程度になりますよね。
でも、実際は違うと思うんです。
(*年収1300万円という水準が、高いか・低いかは別の話として。)
国民全体の正社員・平均年収が『400万円』そこそこを推移している時代、
この程度の『詐欺話』に引っ掛かるレベルの方々の、平均年収が『1300万円』はあり得ません。
と言うことは、金融機関はその基準を超えて融資をしていた。
しかも、
ここからは私の推測ですが(きっと、当たっている。)、
金融機関側は、融資を受ける『素人投資家』が詐欺話に引っ掛かっていることを予め見抜いていた。
それでも、
歴史的な『超低金利』が続く現代、
それを遥かに超える利率で融資希望してくる『素人投資家』は、
『カモ』が『ネギ』を背負って自らやってきたようなものです。
金融機関サイドとしては、これを断る理由は見当たりません。
『そんなことして、不良債権化したらどうするんだ!』と、
この話に疑問を呈される方もいらっしゃるかも知れませんね。
でも、その指摘も『信用創造』の考え方で簡単に説明がつきます。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、
現行の制度で、金融機関が『1億3000万円』を融資する場合、
実際に金融機関が保有している資産は『10分の1』程度。
この事例を考えても、『2000万円』も保有していれば、余裕を持って融資可能です。
残り『1億円超』のお金は、
保有していなくとも『信用創造』で貸し出すことが可能なので、
金融機関としても、もともと保有していなかったお金になります。
当然、
自身が身銭を切って融資する『2000万円』部分に関しては、
『素人投資家』サイドに保有があるか審査(?)はするでしょう。
しかし、
それを超える部分に関しては『濡れ手に粟』で儲かる商売で、
予定通り返済されれば『儲けもの』程度にしか考えていない。
この観点から考えると、実際に融資を決定・実行した、
『金融機関』サイドも相当の『悪』だとお分かり頂けると思います。
そして、
今回の『かぼちゃの馬車問題』の真犯人であり、『最高責任者』であるのは、
、
、
、
この詐欺話に出資してしまった『オーナー(素人投資家)』の方々本人です。
皆さんも、お察しの通りですよね。
シンプルな話ですが、詐欺には当然2つの人間が存在し、
一方は『騙す側』であり、もう一方は『騙される側』です。
両サイドの人間が存在するから成立するのが『詐欺』であり、
どちらか一方では、これが成り立たないことは理解頂けると思います。
今回の一件、当事者になられた方々には、本当にお悔やみ申し上げます。
しかし、
『私は被害者だ!』と一方的に責任放棄して欲しくはなくて、
しっかりと、自身の決断・行動に『責任』を感じてもらいたいのです。
スマートデイズ社は、
『30年間定額家賃支払い保証』なる制度を提示していたようですが、
そんなもの、有り得ないことは常識人なら簡単に見抜けてしまいます。
*長期のインフレ率まで考慮したら、真の『投資家』としての意見では、
この保証制度自体が『割りに合わない取引』ですが、、、、それは置いておきます。
こんな話に乗ってしまった、出資者にも必ず責任はある。
そのことを、しっかりと肝に命じて欲しいのです。
今日、私がなぜ、この事例を取り上げて皆さんにお話しているのか??
それは、
普段、面談させていただく多くの方々を見てきて、
少なからず、『不動産投資詐欺』に合っている方々が多くいらっしゃるからです。
驚くことに、
『会社員』として一般レベルの収入でありながら、
数千万円から1億円を超える額の融資を受けている方々は、世間が想像する以上に居ます。
そして、
それだけの金額融資を受けて物件保有しているにも関わらず、
保有当初から、『ほぼ利益ゼロ』か『収益マイナス』の不動産を摑まされてしまっている。
保有物件が『満室』でもあるにも関わらず、そのような状況ということは、
『時限爆弾』を抱えていることに他ならず、今後のことを考えると、背筋が凍りつきます。
しかし、
保有者には『一貫性の原理』が働き、特にプライドが高い方々を中心に、
自身が下した『投資判断』を、今さら覆すことは決して出来ません。
少し話は前後しますが、
金融機関としても、そうした人間の性を理解していますから、
返済を早期リタイアする人間がいないことを熟知して、融資を実行します。
今日ご紹介した『スマートデイズ:かぼちゃの馬車問題』は、
世間全体から見たら、『氷山の一角中の一角』でしかありません。
残念ながら、
そういった高額融資を伴う投資詐欺話の当事者になってしまうと、
ほぼ100%の方々が『自己破産』する以外に道は無いと考えます。
順当に収益を得て、また、自身が働いて返済できたら良いのですが、
現実の話として、それが実行できる人は『一握の砂』よりも少ないのです。
皆さん、十分に注意してください。
『愚直』や『素直』は、決して、『美德』でもなんでもありません。
私は、『無知』は自らと周りの方々を破滅に導く『悪』だと考えます。
あなたが『お金持ち』になりたいと考えるなら、
その前に、まず、『賢く』なる必要が絶対にあります。
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自らと、周りの大切な方々を守れる人間だと思うのです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太