今日のテーマは、『警鐘サインは、市場から刻々と聞こえている』です。
最近、世界的に『株高』傾向が見られるものの、
市場は比較的落ち着き、平穏な空気が流れています。
今週末は若干の調整が入ったものの、ショックというほどではなく、
『為替』もジワリと動いてはいますが、経済に大きな影響は出ていません。
*政策金利が『約70%』と、異次元を推移するアルゼンチンなど、
経済情勢がもともと脆弱で、不安定な途上国市場は除きます。
世界的な投資家の中には、『市場暴落』を予見する方々もいますが、
そうした金融界のスーパースターでさえ、正確な変動予測は不可能です。
*市場が暴落(または急騰)した際、『正確に予測を当てた!』という人もいますが、
確率論的にそういう方々も存在するのは当然で、それは『宝くじ』の当選に同義です。
それは、遡ること10年前の『サブプライム・ショック』が示しており、
理論的には破綻している、米国不動産市場を舞台とした『イカサマ』が、
実際に、市場で顕在化するのに『約4年』を有したことは有名です。
繰り返しになりますが、『正確な市場予測は、誰にも出来ない』という事。
勿論、
それは、私のような個人投資家においても当てはまり、
株式市場がこのまま上昇を続けるのか、急激に冷え込むのか、『神のみぞ知る』というのが真実です。
しかし、
私自身、これから短期間的な『市場変動』以上に、
最近、密かに日米市場で共通して起こっている、ある出来事が気になっています。
それは、何か??
気が付かれている方々もいらっしゃっると思いますが、
『長期金利』(長期国債利回りと表現しても良いかも知れません。)の緩やかな上昇です。
ここ数年間、
『マイナス金利』を導入した欧州・日本市場を中心に、
先進国では『超低金利時代』が続いたことは、何度も公式ブログで取り上げました。
最も象徴的なのは、
2016年7月末現在の『新発10年もの日本国債』の利回りで、
10年間『国家』にお金を融資して、そのリターンは驚きの『マイナス領域』です。
簡単に言えば、『債権者』が数字上マイナスを被る。
(*デフレ経済を予測した場合、実質プラスリターンになる事は理屈上考えられます。)
そのような、まさに『異次元』の状況が、私たちが暮らす日本市場で起こっていたのです。
流石に、最近は『プラス領域』に戻ってきましたが、
その正確な数字を聞いても答えられる方は皆無で、
それほど『ほぼ0%』の領域にへばりついていたと言えます。
しかし、
ここにきてその状況に、にわかに『変化』が見られ、
今週末時点で、その利回りは『年率0.150%』まで上昇しています。
この数字自体、
『国際金融』の世界では特筆すべきではないので、
新聞、テレビニュース等のマス・メディアでは殆ど注目されていません。
ただ、
個人的には注目していて、政府が金利コントロールしている(*)日本市場において、
(抑圧された中での)『0.150%』は、数字以上の意味を持ってくると考えます。
一時期、
この公式ブログでも頻繁に(と言っても2、3度)取り上げましたが、
現在、日本では、一旦市中金融機関に引き取らせた『国債』を、
暗黙の了解で『日本銀行』が買い支え、金利コントロールしています。
これは、
『政府』が発行した国債を『中央銀行』が買い取る図式の為、
本来は、『財政ファイナンス』という金融業界の『禁じ手』です。
また、
いくら中央銀行『日銀』と言えど、買い取る原資は無限ではありませんから、
『いつか』『どこかのタイミング』で、再度市場に解放しなければなりません。
今は、
超巨大顧客『日本銀行』が買い取る構図が崩れていない為、
国内外の機関・個人投資家も、安心して(?)買い進め、保有することが出来ました。
しかし、
前述の通り、『ターニング・ポイント』は必ずやって来ますから、
いつまでも『馬鹿の一つ覚え』のように、この戦略を繰り返す訳には行きません。
そして、
その『出口』とも言えるポイントは、
『私たちが想像する以上に、早いかも知れない』という所に来ています。
その際も取り上げましたが、
先月(2018年9月)21日、
政府は『公開市場操作』で国債の『買入れオペ』を行い、『25年超国債』購入額を発表しました。
しかし、
これが『市場の買い入れ予測』を若干ながら下回り、
『国債(買い入れ)バブル』の終焉を予想した投資家の売り注文が相次ぎ、
一気に『超長期国債』の利回りが上昇する局面がありました。
政府としても、
『国債利回りの急激な上昇』は好ましい状況ではありませんから、
市場の反応を『過剰』と評価し、継続的な買い入れを示唆することで状況を収束させました。
ただし、
それから2週間ほどの期間でも、注目を浴びない状況ながら(?)、
その利回りはじわりじわりと上昇を続け、懸念は高まりつつあるのです。
日本の『長期金利上昇』は、
米国における現在のそれと、ロジック的には全く異なるものです。
が、どちらが『異常』かと言うと、
もちろん、それは、『財政ファイナンス』出動中の日本です。
今後、債券市場の『ストッパー』が効かなくなると、
それが『トリガー(引き金)』となって、一気に逆噴射する自体になりかねない。
『債券』市場が発端となって、次回の調整局面を迎える可能性は高く、
しばらく、注視して見守っていくことが必要になると考えます。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太