今日のテーマは、『年金保険料の推移に見る、システム破綻のサイン』です。
最近、公式ブログのトレンドになりつつありますが、
冒頭、1つ質問からスタートしたいと思います。
皆さん、既存の『年金システム』について、ちゃんと理解していますか??
現行制度で良いので、自身にいくらの『給付額』があるか知っているでしょうか??
『私たちの世代』
20代、30代、40代や、それ以下の世代では、
『どうせ、年金なんて支給されないから』と、諦めている方も多いかも知れません。
実は、
国民全員(強制加入なので原則的に。)に対して、
『ねんきん定期便』なる葉書が届き、その時点での実績に応じて、
将来の『給付年金額』を、定期的に教えてくれる機能があります。
もしかしたら、
大半の方々が、それを開封しないまま放置したり、
ひどい場合は、そのまま『ゴミ箱』に投げ捨てられるケースもあるかも知れません。
しかし、
自身にとって、とても大切な情報が掲載されていますので、
たまには、きちんと手に取って、現状把握してみて良いのではないでしょうか。
確かに、
私自身、既存の『年金システム』はポンジ・スキームだと考えており、
近い将来、確実に『破綻』してしまう『欠陥スキーム』だと思います。
ただ、
だからと言って『現状を見なくて良い』という事にはならず、
むしろ、目をそらし続けることで、流れに翻弄される事になる。
例えば、
とても基本的な内容ですが、『年金システム』がどのような構造になり、
それぞれ、概算値としてどれほどの『年金給付額』があるか説明出来るでしょうか??
恐らく、この問いに答えられる方は、殆どいないと考えます。
実際、
私も『ファイナンシャル・プランナー』の資格取得スタートした約7年前、
この辺りの制度を始めて認識し、情報整理して理解する事になりました。
少しだけ、説明させて頂きますね。
既にご存知の方も居ると思いますが、暫しお付き合いください。
基本的に、
既存の『年金システム』は最大で3階構造で例えられ、
1階部分は、20歳から60歳までの全国民が対象となる『国民年金』。
言葉を変えて、
『老齢基礎年金』と表現されることも有りますが、
『強制加入』とされているので、原則、立場に関係無く、
日本国内に居住する全ての方々が加入しているはずです。
そして、
2階部分として表現されるのが、会社員の方々を対象とする『厚生年金』で、
毎月の給与、定期支給の賞与から源泉徴収される形で保険料は支払われます。
更に、
3階部分も存在する恵まれた方々がおり、
所属企業が用意している場合、『企業年金』まで給付される仕組みになっています。
これら全てを潤沢に受け取ることが出来たので、
私たちの『親世代』『祖父母世代』は、悠々自適の老後ライフを送れたのですね。
ただ、
公式ブログ読者の皆さんもご存知の通り、今、それは存在しないので、
それぞれの階層『制度維持』も含めて、注意深くウォッチする必要性が有ります。
それで、
『厚生年金』『企業年金』の2、3階部分は変数大きいので置いておくとして、
今日のタイトル、『システム破綻のサイン』を『国民年金』から読み解きます。
そもそも、
1階部分『国民年金』制度がスタートしたのが昭和36年(1961年)ですが、
その当時、『給付年金額』がいくらだったか想像が付くでしょうか??
今とは『貨幣価値』の変動もあるので、中々、想像もつきませんよね。
制度発足当時の『給付年金額』は、年間支給額で『2万4000円』。
後述しますが、現在の『給付年金額』と同等の効力を持つ金額です。
その後の『給付年金額(満額)』の年代推移を見ていくと、次のようになります。
・昭和48年(1973年):年間24万0000円
・昭和51年(1976年):年間39万0000円
・昭和55年(1980年):年間50万4000円
・平成元年(1989年) :年間66万6000円
ちょうど『高度成長期』から『バブル期』がピークに達するまで、
数年間おきに『倍々ゲーム』が如く、『給付額』が増加している事が分かります。
その後も、上昇ペースは鈍化しながらも、『給付額』は微増しながら進みます。
・平成6年(1994年) :年間78万0000円
・平成11年(1999年):年間80万4200円
この平成11年(1999年)における『年金支給額』が過去最高で、
その後は、物価や賃金変動を加味した調整の結果、微減で推移します。
因みに、
平成30年(2018年)時点の『給付年金額』は、
満額支給の方で『年間77万9300円』まで落ち込んでいます。
物価は確実に上昇していると考えますが、
『年金給付額』は、四半世紀前の1994年の数字を割っているんですね。
次に、『年金保険料』を見ていきましょう。
ここで問題ですが、
『国民年金制度』スタート当時、毎月の『年金保険料』はいくらだったでしょうか??
『給付年金額』に対して全ての数字が出揃ったので、
ロジック立てて、掲載してみるのも面白いかも知れません。
当初給付額『2万4000円』に対して、現在満額が『77万9300円』ですから、
制度スタート以来、『58年間』で給付額は『約32倍』になった事が分かります。
そこから推測すると、
現在の年金保険料が『月額:約1万6000円』程ですから、
その32分の1、『月額500円』程の計算になるでしょうか??
実は、違うんです。
制度発足当時の年金保険料は、『月額150円』で現在と比較して『110分の1』。
つまり、
視点を変えて考えれば、この『58年間』という期間の間に、
年金給付額『32倍』に対して、保険料は『110倍』も膨れ上がっているのです。
この時点で、『システム破綻のサイン』は出ています。
これは、『良い』『悪い』の話では決して有りません。
公式ブログを通して、常々お伝えしていますが、
年齢別人口構成が大きく歪んだ日本においては、
数十年から100年スパンで苦境に陥るのはしょうがない事。
私自身、
その『流れ』を変えようという意思はさらさら無いですし、
『アンコントローラブル』な物事に視点を向けるよりも、
『自分が出来る事』に集中した方が、よほど建設的です。
既存の『年金システム』は、近い将来、立ち行かなくなります。
その事をしっかりと認識した上で、
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井上耕太事務所
代表 井上耕太