今日のテーマは、『外貨預金・債券は、本当に資産形成を加速させるのか??』です。
個人的には、『今更』な記事を書きます。
ただし、
この手の話も、人それぞれ知り得るタイミングが有るようで、
いつまで経っても、惑わされてしまう人が後を絶ちません。
なので、
以前、書き続けていた『毎月分配型商品のからくり』同様、
定期的に、繰り返し、情報発信していく必要性を感じました。
日々、
独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動し、
本当に、多くの方々の『資産形成』をサポートさせて頂く中で、
セカンド・オピニオン的に投資判断を仰がれる場面が有ります。
玉石混淆。
世の中には、本当に多くの『投資話』が溢れていますね。
基本的な、本質の『原理』は変わらないものから、
ロジック不明(不明瞭)の新たな話まで、多くのものが生み出されています。
1つだけはっきりと言えることは、
世界中に存在する『投資話』を全て把握する事は不可能ですし、
それが出来る人間も、世界中を探しても誰一人として居ません。
そんな中、
基本的構造は何1つ変わらないのに、皆さん嵌まり続ける罠もある訳で、
その代表的なものの1つが、今日ご紹介する『外貨・外国債』投資です。
予め断っておくと、これらは『詐欺話』では有りません。
その証拠に、
それらは『有名金融機関』から大々的に売り出されており、
それらを継続的に販売している彼らは、違法営業で訴えられたりしていない。
しかし、
それらが投資家に『利益』をもたらしているかと言えば、そうではなく、
むしろ、『罠に嵌った人間(投資家)』から資金を奪い続けています。
この辺り、
『損失を出す可能性が高い』と分かりながら販売し、実際にその通りになっても、
最終的には、投資家の『自己責任』とされるのが、金融の世界の興味深いところ。
確かに、
最終的には、自ら決断を下すという意味での『自己責任』には賛同しますが、
情報提供サイドが、『損失を出す可能性が高い』と考えて勧めていたら問題です。
その点、
情報提供サイドの『真意』を一瞬で見破る方法は存在しており、
それはシンプルに、『あなたは投資していますか??』と聞く事で分かります。
もしも、
この問いに『NO』であれば、今後の人生で、その人と付き合う必要は無く、
回答が『YES』で初めて、投資検討のスタートラインについた事になります。
長々と話して来ましたが、本題に入ります。
『トルコリラ』『南アフリカ・ランド』『ブラジル・レアル』等々。
『高利回り』を謳う『外貨預金』は様々存在しますが、これらは、
投資する事で、本当にあなたの『資産形成』を加速させるのでしょうか??
確かに、
『普通預金』は愚か『定期預金』までが『金利0%』に低迷するこの国で、
『預金金利』『債券利回り』として、5%を超えるものを提示されたら揺らぎます。
例えば、
『100万円』を、国内金融機関に預金していたら1年後も同額ですが、
『外貨預金』が示す利回り『5%』で運用したら『105万円』になる。
庶民的な感覚ですが、
1年間で『5万円』という金額は大きな差と考えられ、
放置していても変わらないのであれば、後者の選択が正しく思えて来ます。
増して、
投資元本として『100万円』より大きな金額を保有する人は、
上記ロジックが本当に成立するとしたら、即座に実行したくなりますよね。
果たして、その投資判断は正しいのか??
ここで、1つ冷静になって考えてみましょう。
もしも、上記ロジックが本当に成立するのであれば、
国債市場に循環する『お金』というお金が、『高金利通貨・債券』に殺到します。
しかし、
現実にはそうはなっていない訳で、それは何故かと言うと、
『高利回り』を上回る水準で、『通貨価値下落』のリスクを孕んでいると考えるから。
先ほどの事例で言えば、
仮に、1年前に『100万円』分の外貨を購入して運用し、5%上昇しても、
『通貨価値』自体が、年間10%下落していれば、余裕で元本を下回ります。
実際、
先程、『高金利通貨』の代表例として挙げた『トルコ・リラ』などは、
昨年2018年の1年間で、対米ドル換算『40%』ほど下落しました。
その『通貨価値下落』の前には、『高利回り』も無意味です。
加えて、
日本に居住・生活する私たちが『トルコリラ』を使う訳は有りませんから、
『外貨預金』は、最終的には『日本円』に戻して来ることが必要です。
ここで、
金融機関では、行って来いの『為替手数料』が掛かる訳で、
その減少分を考えると、この投資に対する損失は、更に拡大していきます。
金融機関としては、
当初から、この『為替手数料』を稼ごうという目的ですから、
該当通貨について、投資家が儲けようが・損しようが興味は有りません。
彼らは、
『外貨預金』という投資判断をあなたがした瞬間、
行って来いの『為替手数料』という『利益』が確定しており、
その後の関係のない部分に関しては、興味を示さないのです。
『外国債券』についても、原理はこれと同様です。
その『利払い』と『償還金額』を合計したリターンが高いものでも、
該当する『通貨価値』自体が下落してしまったら、元も子も無い。
『為替手数料』についても、全く同様です。
世の中には『確実に儲かる投資』というものは存在しませんが、
反対に、『確実に損する投資』というものは無数に存在します。
その辺り、
『金融の世界の基準』を知り、『金融リテラシー』を高める事で、
避けられるものが大半なので、今後も学び続けて頂けたら幸いです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太