今日のテーマは、『人生100年時代、私たちは1億円もの年金ギャップを抱えている』です。
今から4年前、
2019年終盤、金融庁ワーキンググループが試算した、
老後資産2000万円なるワードが世間を賑わせました。
恐らく、
政府サイドは、将来に対する実現可能な数値目標として、
その数字(2000万円)を国民にアナウンスしたはず。
しかし、
保有資産の中央値1000万円そこそこの国民サイドは、
そうとは取らず、高い壁に絶望する方々が続出しました。
この辺り、両者(政府と国民)の溝は深まるばかりです。
ただ、
ファイナンシャル・プランナーの立場から意見をすると、
2000万円で老後が乗り切れるというのは大ウソです。
そもそも、
『2000万円』という数字の算定根拠がどこにあるか、
日本国民の大半は、理解してないのではないでしょうか。
簡単に整理すると、
財務省公表の家計調査では、65歳以上の無職の夫婦で、
全国的な平均値として生活コストは『約27万円』です。
対して、
モデルケース(*)に定める夫婦が受給する年金月額は、
現行水準を採用して『約22万円』と試算されています。
*夫:平均年収500万円・40年勤務、妻:専業主婦。
つまり、月額『5万円』の年金ギャップがあるという事。
2023年現在、
65歳を迎えた人物の平均余命は男女とも30年程あり、
これらを掛け合わせると『2000万円』に近付きます。
*5万円(年金ギャップ)✖️12ヵ月✖️30年(余命)
シンプルな計算式なので、ここまでは理解できますよね。
しかし、
これは年金受給額の減少や物価上昇率という点において、
不都合な現実を除外した、楽観的すぎる空想データです。
事実、
某政府系機関試算の将来の年金受給額を示すデータでは、
現在35歳を迎える人が、65歳から受給スタートする、
年金月額の現実的な数字は『16.8万円』と出ています。
*前述モデルケースの場合。夫婦2人合算額としてです。
また、
30年後の物価が楽観的に見て現行1.5倍だったとして、
前述した生活コストは『月40万円』にまで増大します。
この時、
先ほど『月5万円』と試算された年金ギャップも拡大し、
現実的な数字として『月23万円』ほどあることになる。
平均余命については、
男女ともに半数以上が『100歳』まで生きられる時代、
少なくとも今後数十年間は縮小することはなさそうです。
ここでは、
年金受給を65歳からスタート出来る(?)ものとして、
一般的な老後が『35年間』続くとして試算しましょう。
23万円(年金ギャップ)✖️12ヵ月✖️35年(余命)
上記の数式を計算すると『9660万円』の解が導かれ、
無事(?)老後資産『1億円』の必要性が証明されます。
考慮して欲しいのは、
上記試算は、私が悲観視する公的年金を除外しておらず、
現実的な数字として十分に組み込んでいるという点です。
つまり、
将来の年金受給額が『悲観シナリオ』として推移すれば、
必然、老後資産の必要額もこの数字から上振れしますね。
決して、
ノストラダムスの予言的に不安を煽っているわけでなく、
私たちは『そういう時代に生きている』ということです。
『資産形成』は誰しも避けられない時代に突入している。
少なくとも、その事実は理解しておく方が良いでしょう。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太