今日のテーマは、『人はなぜ、現在の為替水準を異次元の円安と感じてしまうのか??』です。
普段から、
多くの方々と情報交換させて頂いていますが、その中で、
少し『違和感』を感じる場面に遭遇することがあります。
もちろん、
自らが、唯一無二の正解であることなど有り得ませんし、
むしろ、他人と考え方が異なることは自然で、必然です。
ただ、
それが前提条件にあることを理解して、客観的に見ても、
相手の判断が『正しくない』と感じる場面があるのです。
その1つが、
現在『1米ドル=145円前後』で推移する為替水準を、
多くの方々が『異次元の円安』だと考えていることです。
確かに、
メディアでも、度々『円安』のフレーズで報道が為され、
日本政府もポーズながら為替介入の可能性を匂わせます。
しかし、
元々『変動相場制』を前提として運営されている市場で、
どうして、今の水準が『円安』と判断できるでしょうか。
予め断っておくと、
実質的な購買力を加味した対外的な『日本円』の価値は、
1990年当時と比較して、6割程度まで落ちています。
私自身、
大人として体験した世代ではないですが、バブル最盛期、
日本が栄華を極めた時代が日本円の価値も最も高かった。
その時代、
つまり、10年を超える長期視点で物ごとを捉えたとき、
既に、久しく日本は『円安』の状態にあったということ。
しかし、
『異次元の円安』と言っている方々の視点はそこになく、
明らかに、最近の『短期的変動』のことを指しています。
果たして、それは正しい判断だと言えるでしょうか??
そうでない(正しくない)ことは、簡単に説明できます。
心理学用語で『アンカリング効果』なるものがあります。
有名な言葉なので、ご存知の方もいるかも知れませんね。
人は、
最初に与えられた『情報』を重要視する傾向があるため、
それを基準点として後に出てくる情報を判断してしまう。
例えば、
『定価10万円』のバッグは、その数字が基準点となり、
2割引で購入すると『2万円』得をしたと感じてしまう。
それは、
元々、『8万円』の価値しかなかったのかも知れないし、
もしかしたらそれ(8万円)すら高過ぎるかも知れない。
それでも、それをまったく疑うことなくさせてしまう程、
最初に示された『10万円』のアンカリングは強力です。
為替も、これと同じです。
つまり、『異次元の円安』という方々は、自分が最初に、
意識したポイントを基準点に円高・円安を判断している。
客観的に見れば、
自分が意識した時点(最初に与えられた情報)は、当然、
世界的スタンダードでもなんでもないことが分かります。
完全に『アンカリング』の呪縛に囚われてしまっている。
為替に限らず、世の中は全てのパラメータが変化します。
そして、
もう1つ大切なことで、認識しておく必要があることは、
一旦、変化が起きたら、元の状態に戻ることはないこと。
常に、
情報、思考回路をアップデートして、今を新たな基準に、
自らも変化していく姿勢こそが、重要だと感じています。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太