今日のテーマは、『現預金が過半数を占める、日本人の安全志向は正しいか??』です。
元々、日本人の国民性は『安全志向』と言われます。
凡ゆる分野において『リスク』を取ろうとしません。
それは、重大局面に直面した際、政治家の先生方が、
自ら『責任』を引き受ける決断しないことでも自明。
いや、
そこまで大きな話でなくて、日々、会社員の方々も、
中々、自ら『責任』を引き受ける決断をしませんね。
むしろ、
自ら『決断』しない事で、責任の所在が曖昧になり、
『自分以外の誰か』に帰属することを願いすらする。
それは、
直近数百年ほどの話ではなくて、それより遥か以前、
『農耕民族』を選択した時点まで、起源を遡ります。
『前置き』が長くなるので、『本題』に入りますね。
日本人の『安全志向』は、金融分野も表れています。
先日の報道で、
国内個人が保有する金融資産総額が、2021年内、
『2000兆円』の大台を突破すると判明しました。
前回調査、
2021年9月時点のそれは『1999.8兆円』と、
前述した大台『2000兆円』に肉薄していました。
先日、
居住者総数は『1億2600万人』と記述したので、
単純計算、1人あたり『約1600万円』保有する。
仮に、
あなたの世帯が4人(配偶者・子ども2人)ならば、
6000万円程保有して『平均値』ということです。
まあ、
実態は、『平均値』を超えて資産保有する方々がおり、
中央値はぐっと抑えられて『600万円』ほどですが。
話を戻します。
国内個人の保有資産『1000兆円』を突破したのは、
前元号『平成』がスタートした当初の『1990年』。
それから、
『失われた時代』と揶揄されながらも、30年間経て、
国民の保有資産総額は倍増(2000兆円)しました。
しかし、
問題に感じるのは、その過半数『1072兆円』程を、
現時点『現預金』というポジションが占めることです。
因みに、
残りの過半数(全体換算した4分の1)を占めるのは、
保険・年金という、比較的安全資産とされる金融商品。
具体的な金額としては、『約538兆円』に上ります。
そして、
株式(投資信託を含む)が占める割合は最も低くなり、
金額換算『307兆円』、占有シェアは約15%です。
『比較対象』がなければ、判断し難いかも知れません。
それでは、覇権国『米国』の数字を見ていきましょう。
先ず、
米国内、個人保有の金融資産総額は、2021年時点、
『約114兆米ドル』にのぼることが分かっています。
現行レートで日本円換算『1京3000兆円』に迫る。
単純比較、日本のそれと『6倍強』の開きがあります。
また、
国民一人あたり換算した数字でも『2.5倍』多いもの。
そして、
決定的な相違点は、日本国内最小シェアの『株式』が、
米国は、保有資産の『過半数』を占めていることです。
反対に、
日本で過半数を占めていた『現預金』の米国内比率は、
日本で『株式』が占有していた最小シェア部分と酷似。
つまり、
現預金(安全資産)と株式(リスク資産)のシェアは、
日本と米国で、完全に『逆転現象』が起こっています。
直近30年、
日本の家計資産が、2倍化したことは前述しましたが、
同期間、米国のそれは『6倍超』と大きく水を開ける。
この辺り、
個人投資家が市場に資金投入する流れのあるか、否か、
国家全体の気質・特性も、大きく関係すると考えます。
先に示したとおり、
日本人が大好きな安全資産(?)の『現預金』ですが、
余程のことがない限り『数字上の変動』は有りません。
しかし、
必然、市場全体が上昇へと転じている局面においても、
その『恩恵』に与ることも、完全放棄しているのです。
確かに、
人間の特性として、利益と損失が『同額』だった場合、
後者(損失)の痛みの方が強いことは分かっています。
ダニエル・カーネマンの『プロスペクト理論』ですね。
ただ、
投資家の立場で申し上げるなら、リスクを過度に恐れ、
悉く『機会損失』していく事は、万死に値しています。
多少のリスク(不確実性)を受け入れることなくして、
金融市場での『恩恵』に与ることも、絶対ありません。
覚悟を決めて、リスク(不確実性)を受け入れる事で、
『資産形成』についても、成功の可能性が出て来ます。
『過ぎたるは、及ばざるが如し』の言葉が示すとおり、
日本人の『過度な安全志向』も、正解ではないのです。
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