今日のテーマは、『神様の引退でひとつの時代が終わるとき、株式市場では何が起こるのか』です。
2025年、株式投資の世界ではひとつの時代が終わろうとしています。
わずか一代で巨万の富(大帝国)を築いた神様ウォーレン・バフェット氏は、今年5月、自らがCEOを務めるバークシャー・ハザウェイ社の経営について年内で退く意向であることを公表しました。
S&P500種株価指数の構成企業の中で最も長く、同社を1965年から60年間かけて率いてきた『天才』の実質的な引退宣言です。
2018年に取締役に就任し、2021年には後継者として明言されたグレッグ・アベル氏ですが、いよいよ2026年初からは本格的にバトンを引き継いで一人立ちすることになります。
今年、御年95歳を迎えたバフェット氏ですが、投資家生命をここまで長いものにした要因は、バークシャー社の企業価値を高めて投資家から得てきた求心力に尽きます。
2000年初頭、10万米ドルそこそこで取引されていた同社A株の株価は、わずか四半世紀のうちに80万米ドルに肉薄するまでに成長を遂げました。
特に、コロナ禍以降(*)の成長曲線の上昇は目を見張るものがあり、一企業として、これからも投資家たちの期待に応えることが出来るのかに注目が集まっています。
*奇しくも、長らくスルーしてきた日本市場をターゲットとして、5大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)株の大量取得を公表した時期と重なりますね。
もちろん、引退に際して神様・バフェットも無策ではありません。
前述の通り、これまでも先手先手で投資家たちに心の準備を求めてきたことに加えて、今年11月の投資家向けの手紙には『次期CEOの手腕に自信が持てるまで、同社の株式を保有し続ける』ことを明記しています。
もし仮に、年始早々にバークシャーの株価が急落するとすれば、企業としての本質的価値が損なわれたからではなく、単純に投資家の売りが殺到するからですが、それを未然に防ごうというのが目的です。
ただし、この対策(バフェット自らの保有継続宣言)が目論見通りに上手く機能するかについては、実際に蓋を開けてみないと分からないというのが本音ではないでしょうか。
流石に、伝説的カリスマの引退が世界規模の金融危機のトリガー(引き金)になるとまでは考えていませんが、株式投資の世界において、ひとつの時代が終焉するということだけは確実です。
そして、これほど長きに渡り第一線を走り続けてきた天才の出現は、今後も、決してそうそう起こり得ないだろうということも真実です。
神様の引退まで、あと19日。
目前に迫る今ですら、それ以降の世界を想像することすら出来ませんが、これからも淡々と流れていくであろうマーケットの動向をウォッチしていきたいと思います。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





