今日のテーマは、『金利ある世界への急激な回帰により、日本財政が抱える本質的な課題』です。
先週の公式ブログでは『金利ある世界が戻って来ても手放しで喜べない、日本が抱えるジレンマ』と題して、ゼロ金利の呪縛から解放されて正常化したにも関わらず、日本が直面しているリスクについてご紹介しました。
先週、一時的に2.380%まで高まりを見せた長期金利(新発10年国債の利回り)ですが、数字そのものだけを捉えれば、決して高過ぎる水準にある訳ではありません。
何故なら、大手格付会社により付された日本国債の信用はA(シングルA)格であり、少しでもデフォルト・リスクを含むものの取引価格は下落して、相反する形で金利が上昇する傾向にあるからです。
因みに、日本のそれよりも高い格付(AA:ダブルA)を有する新発10年もの米国債の利回りは現時点4.2%台で推移しており、原理・原則で考えると逆転現象が起きてしまっています。
ただ、対GDP(国内総生産)比250%超、数字にして1300兆円を超える天文学的な国家債務を積み上げている日本において、金利の急激な上昇は危機的な状況に直結することも事実です。
仮に、先日の記事中で紹介した試算通り金利の上昇が続けば、日本の財政は健全化するどころか、今までの状況に拍車をかけて『借金体質』を強めていく可能性も十分にあります。
しかし、そのような長期視点での課題に先行して、本質的な早急の課題があるとも感じています。
それは、日本国が発行する国債に買い手が付かなくなり、すべてを消化(売却)することが出来なくなる日が(近い将来)来るかも知れないということです。
実際、先週は10年債の金利が2.380%まで上昇している裏で、30年ものは年利3.880%、40年ものは年利4.215%と超長期債の金利も過去最高水準を突破してしまいました。
債券の基本原理は先ほど少しだけ触れましたが、その金利が上昇するということは、裏を返せば価格が下落しているということであり、即ち買い手が不足して市場でダブついていることを意味します。
実際、これまでは日本国債の主要な担い手だった国内金融機関(銀行・保険会社等)は直近の金利上昇(価格下落)を受けて保有部分でかなりの含み損を抱えており、急速な買い控えが始まっています。
また、それ以上の購入者だった日本銀行も段階的に引き受けを減らしていくことを公言しており、昨年1月ー3月期に1500億円だった購入額を(予定も含めて)今期は950億円まで減少させると決定しました。
対して、日本国債の主な担い手として台頭しているのは海外投資家勢で、超長期債に限定しても去年の彼らの購入額は13.3兆円、買い付け額全体に占める割合は53%にまで急騰しています。
当然ですが、日本に対して愛国心がある訳ではない彼ら(海外投資家勢)は流動的な存在であり、マーケットに何かしらのサインが現れれば簡単にそれ(日本国債)を手放して飛び出していきます。
現時点、海外格付大手各社は、民間(個人・企業)の国内貯蓄がある程度潤沢なうちは引き続き消化可能との見方を示していますが、果たして、そのまま鵜呑みにしても良いのかは大いに疑問です。
事実は小説より奇なり。今、水面下では『大きなリスク』が渦巻いていることを感じています。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





