今日のテーマは、『格差の小さい日本ほど、リタイアメント・インカム構築の必要性がある』です。
一般に、日本は経済格差が小さいことで知られています。
海外諸国から、
『最も成功した社会主義国は中国ではなく、日本だ』と、
揶揄されていることも、それを端的に表していますよね。
一つの指標として、
上位1%の富裕層が保有する資産が全体何%を占めるか、
いわゆる『1%占有率』で経済格差は窺い知れますよね。
2024年現在、日本のそれは25%程しかありません。
確かに、
上位1%の富裕層が全体の約4分の1を占有する社会は、
あるか・ないか二者択一では経済格差は存在しています。
しかし、
1%占有率が4ー5割にも達する欧米諸国と比較した時、
日本のそれは、明らかに低い水準に留まり続けています。
元々、
歴史の長い欧州は、資産家が代々受け継いでいくことで、
『ストック型』とも言うべき圧倒的な格差が存在します。
また、
歴史の浅い米国は、古くはビル・ゲイツや、バフェット、
現代はイーロン・マスクに代表されるような天才たちが、
一代で何兆円規模もの一大帝国を構築してきましたよね。
もちろん、
日本にもストック型・フロー型の資産家は存在しますが、
海外諸国と比較すると、やはり規模感は小さくなります。
それでは、日本型の『経済格差』とはどのようなものか。
それは、
『パワーカップル』の言葉で表現する方々に代表される、
上場企業に勤務する会社員同士がパートナーとなる事で、
世帯年収1000万円超の基準をクリアしている上位層。
対して、
既婚・未婚を問わず、年収300ー400万円レンジで、
様々な制約を受けながら生活している下位層という格差。
お分かり頂けるように、
彼ら・彼女らには、海外の資本主義国並みの格差はなく、
『違い』というマイルドな表現の方が正確にすら思える。
しかし、
一見近いように見えるその立場は、日本社会においては、
決して相入ることないよう明確な溝で隔てられています。
それでは、格差が小さいことは良いことなのでしょうか。
もちろん、
狭義的には格差が小さいことは好意的に評価されますが、
社会全体を俯瞰した時、私はそのように考えていません。
何故なら、
極めて微小ながら、決定的な格差がある日本においては、
歴史上、資本主義国がその(格差)解消で実行してきた、
『富の再分配』というシステムを機能させられないから。
少し考えれば分かります。
例えば、世帯年収1000ー2000万円程の家庭では、
下位層と比較して、生活ランクの底上げ自体は可能です。
しかし、
これらの方々を『富裕層』と見做して課税を強化すると、
彼ら・彼女ら自身の生活が途端に立ち行かなくなります。
つまり、
日本型の軽微な(?)格差社会では、再分配は機能せず、
社会的弱者とされる方々の救済など起こりえないのです。
だからこそ、リタイアメントインカム構築が重要になる。
最も成功した社会主義国家・日本こそ、社会保障は薄く、
自助努力が必要という事実は現実世界の強烈な皮肉です。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太