今日のテーマは、『完全な金利ある世界を取り戻すことが出来ない、日本が抱えるジレンマ』です。
いよいよ、2024年も残り一週間ほどになりましたね。
日本の株式市場の大納会(最終取引日)は12月30日。
先ほど触れた通り、
実質残5営業日と少ないですが、不安定さを考慮すると、
マーケットはまだまだ大きく動く可能性を秘めています。
恐らく、
多くの方々は今週で仕事を納めを迎えると想像しますが、
私自身、稼働する限り市場動向を注視したいと思います。
さて、
日本国内において、金融・経済分野の変化を考えたとき、
今年は『金利ある世界の回帰』が真っ先に挙げられます。
これまで、
10年間を超える前・黒田日銀政権下で実行されたのは、
金融の基本原則『金利』の概念を排除する異次元なもの。
果たして、
過去に類を見ない、壮大な実験の結果は未だ出ませんが、
その副作用に苦慮しながらも、現・植田日銀政権下では、
順を追いながら、正常化に向けて歩が進められています。
12月23日現在、
10年もの国債の利回りは1.05%前後で推移しており、
長期的にゼロ金利が続いたことを思うと感慨深さも一入。
それでは、
2025年以降も、日本において金融正常化は進められ、
海外諸国並の『適正金利の世界』は訪れるのでしょうか。
残念ながらその可能性は極めて低いと考えられています。
その理由は、日本が慢性的に抱えるジレンマがあるから。
先日、
日本政府は来年度の当初予算案として、国債費の数字が、
今年(2024年)度の27兆90億円を大きく上回り、
5年連続の過去最大更新が確定したことを公表しました。
現時点、
具体的な着地点(数字)は明確に示されてはいませんが、
28兆円を超える辺りが攻防ラインになるものと見ます。
今回、
国債費(償還・利払い費)が大きく膨らんだ主な理由は、
想定金利を現行の1.9%から2.0%へと引き上げたこと。
もしかしたら、
『その程度?』と考えられる人もいるかも知れませんが、
普通国債のみで1000兆円超の累積債務のある日本で、
0.1%の金利上昇は、利払いに多大な影響を及ぼします。
目下、
日本国は単年会計として約120兆円で運営されますが、
このうち国債費(借金の返済)に充当されている金額は、
全体として『約25%』の数字を占めている莫大なもの。
さらに、
近年は、新たに生み出される赤字額も年々増大していて、
今年度のそれは当初予算案の時点で35兆4490億円、
補正を含めると40兆円を軽くオーバーしてしまいます。
分かり易く言えば、
3ヶ月毎に『10兆円』ずつ赤字を積み上げ続けており、
その債務(借金)は未来永劫解消することが出来ません。
話を戻すと、
約1300兆円、対GDP比250%超の債務がある限り、
日本国は金利を『適正水準』まで上げることが出来ない。
現状、
丁度1%で停滞する長期金利(10年もの国債金利)も、
債務問題が解消しない限りは『2%』にも達し得ません。
そして、
個人・企業レベルと同様に、慢性的な借金経営の状態が、
将来的にずっと続けていくことが出来ないのも事実です。
日本が抱えるジレンマは、今後も火種として燻り続ける。
私たちの日々の生活は『リスク』の上に成立しています。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太