今日のテーマは、『時間外労働の上限規制により、私たちが直接影響を受けるもう1つの業種』です。
先週の公式ブログでは、
『物流2024年問題で生活はどう変わるか』と題して、
新年度スタートからの国民生活の懸念点を紹介しました。
当然ながら、
4月1日正午時点、その影響を感じることはないですが、
少しタイムラグを置いて実感する点も多くなるはずです。
これまで、
2024年問題は主に物流業界で報じられて来ましたが、
同時期に規制開始するのは、これを含め4業種あります。
前述の通り、
輸送業(自動車運転業)に加えて、建設業と医師のほか、
鹿児島・沖縄の両県で運営されている製糖業がそれです。
このうち、
先日挙げた輸送業に次いで、私たちが影響を受けるのは、
間違いなく『医師』の方々を対象とした規制の強化です。
予め断ると、
プライマリ・ケアで受診する開業医は被雇用者ではなく、
恐らく4月1日以降も変わらず運営されていくはずです。
それでも、
看護師や事務スタッフ等は『被雇用者』に該当するため、
これまで通り、上限規制は厳しく管理されるでしょうが。
話を戻すと、
新たに、時間外労働・年間960時間の対象になるのは、
病院や企業等に所属して雇われる『勤務医』の方々です。
実際、
顧客である、病院の某診療科部長を務める人たちからは、
2024年問題に対しての懸念を頻繁に聞いてきました。
例えば、
仮に、担当の患者さんが亡くなろうとしている状況でも、
退勤時間には、平然と帰宅する医師が増えたというもの。
もちろん、
全国一律にそうではないことを祈りますが、少なくとも、
医療機関においてそのような風潮があるということです。
それを考慮すると、
法律により、時間外労働の規制がスタートする以前から、
2024年問題が生じる下地は存在したことになります。
私自身、
一昨年にコロナ感染した際、大阪の基幹病院を受診して、
寒空の下、屋外で2時間以上放置された経験があります。
その後、
明らかにおかしいと感じ病院スタッフに質問したところ、
『担当です』と挨拶にきた若い女医が、退勤時間になり、
私を引き継ぎすることなく、帰宅してしまったとのこと。
その時は、
信じられない事態に驚愕し言葉を失ってしまいましたが、
前述の医師の言葉を聞くと、変に納得してしまいました。
確かに、
命を落とそうとする人すら見捨てられる世の中ですから、
39度の発熱患者が見捨てられても不思議はありません。
あくまで、
一人の医師(某部長)の私見ですが、明確な志を持たず、
医師をしている人物は年齢・性差なく倫理観が欠如する。
しかし、
これまでの時代と同じ方法で、それを指摘してしまうと、
現代では各種のハラスメントに該当してしまうそうです。
そして、
今回はじまる時間外労働の上限規制があと押しする形で、
医療業界の2024年問題も顕在化していくだろう、と。
明確に断っておくと、
世の中に存在する9割以上の医師・医療従事者の方々は、
正しい倫理観のもとで仕事をされていると信じています。
また、
彼ら・彼女らも、私たちと感じく『一人の人間』であり、
それぞれの生活があり、人生があることも理解している。
しかし、
世の中は、白と黒が明確に分けられるものばかりでなく、
柔軟な対応が求められるグレーゾーンも存在しています。
今回、
医療現場で奮闘する医師を守るため100%の善意から、
上限規制が定められ、白と黒が明確に線引きされました。
これにより、社会全体として本当に良くなるでしょうか。
決して、善悪を判断する訳ではありませんが、物ごとが、
白と黒に明確に分断される世界が始まるということです。
それだけは、予め意識しておく方が良いかも知れません。
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2023年1月よりセミリタイア生活に入っているため、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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代表 井上耕太