今日のテーマは、『借金により成立する社会は、果たして持続可能なのか??』です。
『SDGs』なる言葉も、近年、急速に市民権を得ていますね。
2015年9月、
国連加盟193か国により、国連サミットで採択されたもので、
2016年からの15年間、達成するため掲げた目標の事です。
1.貧困をなくそう。
2.飢餓をゼロに。
3.凡ゆる人に健康と福祉を。
4.質の高い教育をすべての人に。
5.ジェンダーの平等を実現しよう。
6.安全な水とトイレを世界中に普及しよう。
7.クリーンなエネルギーを全人類に。
8.持続可能な経済成長を。
9.産業と技術革新の基盤を作ろう。
10.人や国の不平等をなくそう。
11.継続的に住める街づくりを。
12.作る責任と、使う責任と。
13.気候変動に、具体的な対策を。
14.海洋の豊さを守ろう。
15.陸上の豊さも守ろう。
16.平和と公正をすべての人に。
17.パートナーシップで目標達成しよう。
以上、
17項目を、世界各国協力して目標達成していくことで、
長期視点で、人類が継続的に成長していけるというもの。
とても、大切な考え方だと思います。
基本的に、『人』は、短期視点で物事を考える傾向があり、
総合的に考えた際の『善』と、異なる行動をとる時がある。
結果、
これまでの歴史を紐解いても、『歪』が生まれて来ましたが、
『持続可能性』を意識することで、良い方向へと展開します。
『個人レベル』でも、同じことが言えますよね。
この法則も、凡ゆる場面において、共通の『真理』と考えますが、
長期視点で見た際の『善』を貫くほど、難しいことはありません。
コロナ禍、
2021年、金融の世界も新たな『歪』が生まれており、
持続可能性を考えなければいけない分野が出て来ました。
何のことか、お分かりになるでしょうか??
ここまで、『株式市場』の活況に隠れた存在になりましたが、
『債券市場』も緩和マネーが流入し、異様な様相を呈します。
本来、
個人投資家レベルでは、なかなか投資対象とはならない、
ハイイールド(低格付)債も、最近は人気を博しており、
その利回りも、低下の一途を辿るようになっています。
ちょうど1年前、
『新型ウイルス』の出現により、市場は未曾有の危機を迎えて、
企業の倒産リスク懸念から、利回りも11%台に上昇しました。
この時、
サブプライム・ショックの『痛み』を覚えていた中央銀行は、
各国協力する形で、この市場の資産購入も即座に決定します。
特に、
覇権国・米国の中央銀行的位置付け『FRB(連邦準備銀行)』が、
低格付け債券購入を決定したことも、市場に安心感を与えました。
その後、
予想外に早く(?)、世界経済が回復するとの見立てからか、
投資家サイドも積極的に『リスク』を引き受けるようになり、
一気に、この市場も『活況』と言える賑わいを見せ始めます。
前述の金融危機(2008年)時、
『14%』に迫る値まで高まった、債権の『デフォルトリスク』も、
昨年末の『6.8%』をピークに、直近は『4%台』まで減少します。
更に、
2021年末には『3%台』まで低下するとの予測もあり、
その結果、市場には新たな資金が流入し続けているのです。
この流れを受けて、
昨年(2020年)のハイイールド(低格付)債権発行額は、
米国建に限っても4000億ドル(約45兆円)にまで上昇。
この数字は、
サブプライム・バブルが飛び火して、欧州危機が勃発した、
2010年代前半と比較しても『約1.5倍』に相当します。
投資家サイドも、
歴史的超低金利時代がつづく中で、リスクを折込みながらも、
少しでも『高利回り』を求めて、債券市場に参入し続けます。
短期的視点で、『Win-Win』の関係が成立していますね。
しかし、
その(債券発行の)主な目的は、社債借り換えと言われており、
借金により借金を返済するという、日本国の財務状況そのもの。
この状態が『持続可能』なのかは、大いに疑問です。
仮に、
このトレンドが、今後も、数年間継続することになるのであれば、
自然淘汰の調整機能が働かず『ゾンビ企業』を大量に作ることに。
そして、
そこまで『延命』してきたが故、それらが崩壊したとなると、
市場に与える『インパクト』も、必然大きなものになります。
現在の『債券市場』の活況は、手放しでは喜べません。
いつか、目を覚さなければならない時が来ることを、
きちんと理解して、投資を進めた方が良さそうです。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太