今日のテーマは、『今回の金相場の変動を受けて、私たちが個人投資家として学ぶべきこと』です。
昨日の公式ブログでは『ケビン・ウォーシュ新議長の誕生により、米経済はより良い方向へ向かうのか』と題して、週明けに起きた金相場の急落に新FRB議長の選出が影響を与えた可能性について触れました。
しかし、記事を読んでいただいた方々は理解されると思いますが、この2つの現象(新FRB議長の選出と金相場の急落)が明確なロジックで結び付いているかと言われるとそうでもありません。
実際、社会全体の『リスクが和らいだ』と言われても漠然としていますし、そもそも、FRBの議長が交代するだけで複雑に絡み合ったすべてのリスクが解決するはずがないことは明らかです。
誤解を恐れずにお伝えすると、要は、トリガー(引き金)は何でも良かったのだと思います。
恐らく、市場参加者も金相場の熱狂がこのまま永遠に続かないことは理解していて、どこかで利益を確定させる降り時(引き際)を探していたのだと想像します。
ただ、すべての投資対象に共通して、その取引価格が上昇している局面で降りられるほど聡明な人は決して多くなく、ズルズルと現状を維持することを選択していたということでしょう。
そこに、FRB(米連邦準備理事会)議長の交代という『社会に影響を与えそうなイベント』が起きたため、それを一つのきっかけとしてトレンドが変調したというのが真実だと考えます。
もし仮に、このタイミングでパウエル・現議長の任期満了がなかったとしても、これまでに起きた歴史上すべての経済変動と等しく、何かしらの代替イベントにより同様の結果に帰結していたはずです。
今後について、短期的な視点で『金相場』がどのように動くかは誰も正確に予想できません。
ただ、一つだけ明確に分かっていることがあるとすれば、2022年以降、直近3年間で描かれたような急激な上昇曲線が永遠に続くことなどは決してないということです。
投資の世界の有名な格言に『天に届くまで伸びる木はない』というものがありますが、これは株式・債券・コモディティ(商品)ほかすべての投資対象について該当します。
それでは、今回の金相場の変動を受けて、私たちが学ぶべきことは何なのでしょうか。
それは、価格が上昇し始めたものを後追いで求めても決して上手くいかないし、それどころか、痛手を負う可能性のほうが高くなってしまうということです。
仮に、読者の皆さんに先見の明があり、少なくとも2020年以前から(金の)買い付けをスタートしていたとしたら、今回の相場上昇でかなりの含み益があるでしょうから素直におめでとうと伝えたい。
ただ、2022年以降に取引価格が上昇し始めたのを見て買い付けをスタートしたとしたら、それは愚の骨頂だと言えます。
私のお気に入りの格言に『聡明な人が最初に取る行動は、愚か者が最後に取る行動』というものがありますが、先ほどご紹介した事例はそれを端的に表していると言えますね。
先日、東京と香港を舞台にした現金強奪事件が連続してありましたが、その出所は金(Gold)を売却した資金だとメディアで報じられています。
彼ら(被害者サイド)がしようとしたことに合法か・非合法かという議論の余地はありますが、今、金を売り抜けるという一つの視点においては賢者(聡明な人)だと言えるのかも知れません。
米国・第35代大統領ジョン・F・ケネディの父としても有名な伝説の相場師ジョセフ・ケネディは『(投資の世界で)上昇の最後まで頑張るのは馬鹿者だけだ』という言葉を残しています。
『言うは易し、行うは難し』の典型とも言えますが、遵守すべき原則の一つであることは疑う余地がありません。
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太





