今日のテーマは、『米国が利下げに転ずることで、日本の悪い円安は解消されるのか??』です。
2022年初、
1米ドル=110円前後で推移する為替相場が突如崩れ、
その後、150円前後をキープするようになって久しい。
当初は、
『歴史的円安』という見方をする人も一定数いましたが、
年単位で継続すると新たな常態化と見るのが正しいです。
凡ゆる分野で、
日常生活を送る上で輸入依存度の高い日本は、自国通貨、
日本円が通貨競争に負けると、直接的に影響を受けます。
実際、
直近2年間、国内では食品・生活物資が急速に高騰して、
例外なく、すべての国民生活が苦境に立たされています。
為替変動が『悪い円安』と表現されるのは、この為です。
前述の通り、
今回の『円安』が進展する起点は約2年前にありますが、
1つの契機は、米・政策金利の利上げがスタートした事。
2022年3月以降、
それは、歴史上類を見ない速度で上昇していきましたが、
ゼロ金利を維持する日本との金利差は順次拡大しました。
原則として、
高金利通貨は、短期的な視点で買い込まれる傾向にあり、
高金利の米ドルに対して日本円は辛酸を舐めてきました。
しかし、
利上げもピークアウトを迎えたという見方も優勢になり、
来年以降、米国が利下げに転じる可能性は100%です。
それでは、
米国の利下げ転換により、日米の金利差が解消されれば、
日本国民が苦しむ『悪い円安』も解決するのでしょうか。
残念ながら、物ごとはそれほど単純には進まなそうです。
繰り返しますが、
悪い円安が進展した要因は、両国間の金利差拡大にあり、
この事自体は、1つの『事実』として間違いありません。
しかし、
その後の2年間で、もう1つ変化が起きているとすれば、
日本企業が獲得した外貨を、日本マーケットには戻さず、
海外で利用する比率が激増していることが挙げられます。
これでは、
『日本円』という通貨の需要はまったく喚起されない為、
必然『円高方向』への推進力も生まれようがありません。
事実、
マスメディアが公表する『経常収支』なる統計データは、
コロナ禍以降も、一貫して『プラス』を維持しています。
にも関わらず、
そこから、日本マーケットに戻らない資金を差し引くと、
2022年度は『流出超過』に転じているのが現実です。
そして、
この状況は、2024年以降も変化しない可能性がある。
そうなれば、
米国が『利下げ』へ舵を切り、日米金利差が縮小しても、
日本国民を悩ませる『悪い円安』は残ると考えられます。
常に備え、
保有資産の一部を外貨ヘッジしていた方々は良いですが、
『日本円』にフルベットしていた人々は、完全にアウト。
『平時』と思える時から、『備え』を進める必要がある。
時代の変化に応じて『思考回路』のアップデートが重要。
大切な『教訓』を身を以って学ぶ時代が到来しています。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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