今日のテーマは、『公的年金の繰り下げ受給は、私たちにとってメリットある選択なのか』です。
引き続き『年金』をテーマに話題展開したいと思います。
昨日までの公式ブログでも、
繰り返し『公的年金システム』のリアルについて触れて、
リタイアメント・インカム構築の難しさを紹介しました。
しかし、
どれだけ現実的な(生起確率の高い)見立てを述べても、
年金信者の洗脳を解くことは決して容易ではありません。
と言っても、
彼ら・彼女らも、現行制度をスタンダードに利用しても、
老後資産としてあまり機能しないことは理解しています。
実際、
運営する政府自身、1960年代以降に生まれた方々が、
保険料の払い損になることは以前から認めているのです。
それでは、何故、頑なに洗脳から覚めないのでしょうか。
それは、
年金信者の方々が、それを信仰する最後の拠り所とする、
『繰り下げ受給』という選択肢が存在しているからです。
簡単に情報を整理します。
現行、受給開始を原則『65歳』とする年金制度ですが、
この年齢は一定の幅であれば前倒し・後倒しが可能です。
仮に、
前者(繰り上げ:前倒し)を選択した場合、一ヶ月毎に、
年金受給額は『0.4%』ずつ減額されることになります。
例えば、
前倒しが可能な『60歳』まで繰り上げて受給するとき、
65歳から受給スタートした年金額を基準点に比較して、
最大24%(*)減額された金額が支払われる事になる。
(月毎▲0.4%*12ヵ月*5年間=▲24%で算出)
反対に、
繰り下げ(後ろ倒し)は月毎『0.7%』が加算される為、
75歳から受給すると、84%が上乗せされる計算です。
分かり易く、
65歳受給開始の年金額が月額10万円だったとすると、
前者は7.6万円、後者は18.4万円の支給になるのです。
一見すると、
後者(繰り下げ)の最大受給額は標準の2倍に迫るため、
絶対的に有利で、私たちの課題を解決しそうに思えます。
果たして、本当にその印象のとおり機能するでしょうか。
少し考えれば分かりますが、
先ほどの例で比較するとき、前者は後者の受給開始まで、
15年間トータルで『1300万円超』を受け取ります。
もちろん、
75歳以降、両者のギャップは月10万円存在しますが、
総受給額として逆転が起こるのに10年以上を要します。
86歳以上生きたら後者(繰り下げ)の勝利ですね(*)
*現実には、お金の現在価値は将来価値よりも高いため、
実質的な『損益分岐点』は90歳を軽く超える計算です。
この『事実』を突き付けられて、それでもまだあなたは、
年金の繰り下げ選択が課題解決すると考えるでしょうか。
百歩譲って、
健康に問題なく(自信があり)年金が恒久制度であれば、
その選択(繰り下げ)も経済合理性があるかも知れない。
しかし、
民間運営されるものであれ、国家運営されるものであれ、
ポンジ・スキームからは一早く退出することが鉄則です。
*最善の選択は『最初から加わらないこと』なのですが、
公的年金は、強制加入が大原則なので選択はできません。
私たちの老後資産は、繰り下げ受給により解決しません。
どこかで覚悟を決めて、自助努力することが不可欠です。
——————————————————————–
昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
*ビジネスに関するお問い合せは、直接ご連絡ください。
*井上耕太事務所(代表)michiamokota0421@gmail.com
——————————————————————–
井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太