今日のテーマは、『底堅さが裏目に出る、覇権国・米国の経済が抱えるジレンマ』です。
3月7日、
米国市場の代表指数であるNYダウ工業株30種平均は、
前日比『574米ドル安』の大幅下落で終了しています。
早いもので、
2023年入り『3ヶ月目』に突入していますが、未だ、
2021年以来となる『上昇気流』は始まらずにいます。
実際、
覇権国・米国の株式市場も、株価推移チャートを見れば、
直近3ヶ月は、綺麗に『横ばい』で波打つことが分かる。
もちろん、
刹那的に、『上昇の兆候』が見られる場面はあるものの、
その直後、直ぐに打ち消される方向に力が働いています。
冒頭ご紹介したように、
今回(3月7日)市場が『下落』する要因となったのは、
米国・政策金利が、再び上昇する可能性が高まったため。
先日、
米FRB・パウエル議長は、米連邦議会上院委員会の席で、
『利上げ加速の用意がある』との発言で踏み込みました。
先月(2月)のFOMCで、
利上げ幅は、通常通りの『0.25%』に落ち着きますが、
今月の同会合では『0.50%』に戻る気配も高まります。
昨年12月時点、
中央値として『5.1%』と考えられていた最終到達点も、
必然、当初の予測を超えて『6%』へと迫る見込みです。
このように、
覇権国・米国の株式市場を『軟調』にさせている要因は、
2023年に入っても続く、政策金利の利上げ傾向です。
しかし、
その『利上げ』を決定させている要因が何か問われれば、
皮肉にも、米国の各種経済指標の『底堅さ』が原因です。
例えば、
2月の利上げ幅が縮小直後に公表された、1月度のPCE、
個人消費支出物価指数は、前月比較で再加速しています。
他にも、
雇用統計、CPI(消費者物価指数)も堅調に推移しており、
本来であれば、これらの傾向は歓迎されるべき事象です。
にも関わらず、
現在の米国では、株価の『上昇要因』とされる諸指標が、
『インフレ』の加速要因として、否定的に捉えられます。
実際、
各種統計の速報値が市場予測を上回れば、金利は上昇し、
株価は下落する『負のスパイラル』へと迷い込んでいる。
米国経済に蔓延る、とても悩ましい『ジレンマ』ですね。
日本経済と比較した時、その質はまったく異なるものの、
米国経済もまた、手綱の引き方の難しい時期にあります。
着陸方法は未知数ですから、引き続き、注視が必要です。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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