今日のテーマは、『現代の取り付け騒ぎは、ソーシャル・メディアにより引き起こされる』です。
以前も、同様のタイトルで記事を書いたかも知れません。
ただ、大切なテーマなので、改めて書きたいと思います。
今年3月、
急激な預金流出により、米中堅シリコンバレーバンクと、
シグネチャーバンクが連続倒産する出来事がありました。
5月16日、
それから2ヶ月経過し、米議会上院が開く公聴会の場で、
前述した両行の経営陣が証言に立つことになっています。
破綻した銀行の当事者が、議会の証言に立つのは史上初。
前日15日には、
シリコンバレーバンク破綻時、最高経営責任者を務めた、
グレゴリーベッカー氏の発言が先行して公表されました。
その中では、
『噂と誤解が、ネット上で急速に拡散されたことにより、
前例のない取り付け騒ぎが起きた』と述べられています。
もちろん、
この発言には『経営責任』を逃れる要素も含まれますが、
それを差引いても、事実と大きく乖離しないと考えます。
事の発端は3月8日、
ニューヨーク州が地盤のシルバーゲート・キャピタルが、
突如、自主清算に入った事に起因すると言われています。
同行は1988年設立、
暗号資産(仮想通貨)ユーザー向けのサービスを提供し、
本来であれば事業モデルはSVBと近い関係にありません。
しかし、
自主清算以降、両行を関連付けた情報がSNSで拡散され、
青天の霹靂と言える取り付け騒ぎが起こり連鎖的に倒産。
実際、
3月8日時点で『十分な流動性と資本があった』ことは、
監督機関のFRB(米連邦準備理事会)も承認しています。
繰り返す通り、
両行の間に、ビジネス上の結び付きは皆無だったものの、
ネット上で関連付けられた事で倒産に追い込まれました。
意外にも、
理解している人は少ないですが、今回同様のロジックで、
取り付け騒ぎ・破綻するリスクは全銀行が有しています。
もちろん、
公的資金により政府が救済する優位性に差はありますが、
標的にされた時、リスクを回避できる銀行はありません。
何故なら、
全銀行が自己資金にレバレッジをかけた経営をしており、
預金者全員が引き出しに動けば、対応不可能だからです。
現実的な話、
『100%』という数字ではなくても、その5分の1程、
『20%』の人が出金に動けば銀行は簡単に破綻します。
当然、
銀行が簡単に破綻しては困る為、資本規制はありますが、
そもそも全体2割に及ぶ取り付け騒ぎは想定外なのです。
しかし、
日常的に、膨大な量の『情報』が生み出され続ける時代、
瞬間的に、大衆が一方向に向かう可能性は十分あります。
私たちは、
テクノロジーの進化により、その恩恵を享受する一方で、
歴史上、最も『リスク』を孕んでいる時代を生きている。
その事実は、きちんと認識しておく方が良いと思います。
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2023年1月より【セミリタイア期間】に入っており、
今後の【資産形成セミナー】の開催は、完全に未定です。
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代表 井上耕太