今日のテーマは、『バフェット2世が誕生し得ない時代、投資は無意味なものに成り下がったのか』です。
約1ヶ月前、
『神様バフェットの債券傾倒は何を教えるか』と題して、
米国・バークシャー・ハサウェイ社の保有資産の内訳で、
株式・債券比率の逆転が起こっていることに触れました。
少し情報を補足すると、
ウォーレン・バフェットは米・ネブラスカ州に生を受け、
僅か一代で巨万の富を築いた言わずと知れた投資の神様。
唯一・最大の失敗とされる、
バークシャーハサウェイ社の買収を投資会社へと転身し、
94歳になる今もCEOとして投資家の前に立ち続けます。
2024年現在、
個人として保有資産は1400億米ドルを突破しており、
現行の為替レートでは、日本円に換算して20兆円超え。
そのバフェット氏が、
自らが財を成した『株式』の保有を近年は減らしており、
より多く『債券』を持つと言うのだから強烈な皮肉です。
直近では、
長年のお気に入り銘柄・アップルやBOAを順次売却して、
手元にある広義のキャッシュは日本円で50兆円に肉薄。
と言っても、
その全てを純粋に『現金』で保有する訳では決してなく、
償還期間までが主に1年未満に限定されている短期債券、
いわゆるキャッシュポジションとして保有されています。
それでも、
それが保有資産の『過半』を占めているのは事実なので、
『脱・株式』と表現されてもあながち間違っていません。
では何故、
『株式』を主戦場に一大帝国を築いてきたバフェットが、
ここに来て債券投資家に転身してしまったのでしょうか。
一つの理由は、
足下、米国債をはじめ債券金利は高水準を維持しており、
リスク・ベネフィットで分があると考えられていること。
昨日(12月18日)、
FRBは年内最後となるFOMC(金融政策決定会合)にて、
政策金利を追加で0.25%利下げする事を決定しました。
しかし、
この予測は予めマーケットに折り込まれており、併せて、
来年の利下げペースを当初案より元素kすることも公表。
つまり、
『債券優位』と断言して良いかは分かりませんが、当面、
『金利』は高く据え置かれることが決定しているのです。
この状況では、投資マネーはリスク資産に向かいません。
もう一つの理由は、
堅調に推移する『株式』が実は割高だと評価されており、
原則として『バリュー投資』を戦略とするバフェットの、
食指が動くような魅力的な対象・銘柄がないということ。
昨今では、
テック、暗号資産、AI業界に対する期待が高騰しており、
溢れる投資マネーの流入が市場全体を底上げしています。
つまり、
以前(20世紀)ほどはバリュー投資が機能しなくなり、
バフェット二世は確実に生まれ辛くなっているという事。
しかし、
それで、投資が無意味なものに成り下がったかと言えば、
私はその意見を推奨しませんし、真っ向から否定します。
何故なら、
資本主義経済下では、常に『g<r』の不等式が成り立ち、
投資収益が、経済成長を上回っていることは自明だから。
特に、
社会保障システムが機能しない私たち日本人にとっては、
年齢・性別・所属・背景に関係なく『投資』は必須です。
その辺りの解釈を間違うと、人生は挽回不能に陥ります。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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井上耕太事務所(独立系FP事務所)
代表 井上耕太