今日のテーマは、『公的年金による悠々自適な老後生活は、すでに幻想になりつつある』です。
昨日の公式ブログでは、
『惜しみなく奪われる人々は喰い物にされる』と題して、
基礎年金の底上げ議論が出てきたことをご紹介しました。
少しだけ振り返ると、
厚生労働省が将来的に年金を受給する世代を対象として、
基礎(国民)年金を底上げする検討に入ったというもの。
これは、
最大で3階構成の公的年金の1階部分に該当するもので、
原則、20歳以上の日本居住者は全員加入させられます。
基本的に、
自営業者は、この1階立てで終わっているケースが多く、
元々、老後生活を支える資金として十分ではありません。
改めて言うまでもなく、
現代の日本は、異次元のペースで少子化が進行しており、
将来的に国家の存続が危ぶまれる懸念すら存在している。
流石に、
私自身も日本が完全消滅する未来は想像していませんが、
議論があること自体が、状況の深刻さを物語っています。
実際、
私が生まれた1984年、150万人だった年間出生は、
2024年は70万人を割り込むまでに減少しています。
40年間で約6割減ですから、本当に洒落になりません。
また、
直近の急降下を考慮すると、2035年まで待たずして、
年間出生50万人割の世界が到来する可能性も十分ある。
理解される通り、
この潮流は現在の日本政府が場当たり的に連発している、
ツギハギの経済支援策では決して変化しないと考えます。
それでは、
過去に類を見ない少子高齢化が進行する中で、果たして、
どうすれば基礎年金の底上げを実行できるのでしょうか。
実は、
そのロジックは意外にもシンプルで、昨日触れたとおり、
会社員が加入する厚生年金の原資を充当するというもの。
こう言うと、
当然ながら、会社員からは大きな反発がありそうですが、
悲しき哉、彼ら・彼女らの意向は全く意味を持ちません。
何故なら、
源泉徴収という強制徴収システムが長年機能している為、
全国で反対デモが起ころうとも保険料は入り続けるから。
確かに、
労働者層の反発はストライキ等では威力を発揮しますが、
こと社会保障においては全く無価値なのかも知れません。
それでは、
草案の通り基礎(国民)年金の底上げが実現したとして、
私たちの老後に安心年金ライフは待っているでしょうか。
残念ながら、この問いに対する回答もネガティブですね。
仮に、
現行水準から給付額が3割アップしても、平均値として、
基礎年金の受給額は『月額7万円』程度が落としどころ。
年間100万円に満たない収入では、生活が出来ません。
さらに、
実際は、将来の受給世代が対象の為、減額が見込まれた、
同じく3割部分を補填する効果しかないと予想されます。
かつて、
敗戦後から20世紀後半にかけての昭和の時代であれば、
老後の悠々自適な年金ライフは実現できたかも知れない。
しかし、
半世紀の時を経て、元号が『令和』に突入した現代では、
もはや、その概念は幻想のレベルに落ちているのが現実。
老後の生活は、自助努力の資産形成に頼る他ありません。
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昨年(2023年)よりセミリタイア生活に入っており、
今後の主催セミナー(オープン形式)の開催は未定です。
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代表 井上耕太