『サブプライム・ショック』から10年、世界経済は危機を脱したのか??

今日のテーマは、『サブプライム・ショックから10年、世界経済は危機を脱したのか??』です。

 

 

昨日の公式ブログでは、近年の『金価格』下落を受けて、

世界の錚々たる機関投資家が、対策のための同盟を組んだ話をしました。

 

 

この話題は、個人的にも『追い風』だと捉えていて、

未だ『金:gold』を諦めていない私にとって、長期的な『資産形成』に関わります。

 

 

それは、

 

 

私以上の規模で『金:gold』として資産保有する方々にとって、より切実で、

世界の金融界のスーパースターが、対策に乗り出してくれたのは喜ばしいことです。

 

 

昨日の記事の中で、

 

 

この同盟発足の中心的なメンバーとして、

『ジョン・ポールソン』という人物がいることはお伝えしました。

 

 

知る人ぞ知る人物ですが、

 

 

ちょうど10年前に起こった『サブプライム・ショック』において、

米国不動産市場の大下落を、2004年頃から予見していた人物です。

 

 

当時、

 

 

住宅関連債務で『イカサマ』が行われていた事はお話しましたが、

実際の市場では、過去最高ともいえる『好景気』が到来しており、

『不動産市場の下落』など、誰も予想だにしていませんでした。

 

 

事実、

 

 

その『絶望的なイベント』が発生する直前まで、

不動産市場は実体とは『逆回転』の上昇を続け、

ポールソン氏は投資家からの資金償還依頼殺到に苦しみます。

 

 

2008年、

 

 

彼が手にした『天文学的なリターン』を考慮したとしても

この時の彼の苦悩は、個人的には到底引き受けられるものでは無いですね。

 

 

いつの時代も、

 

 

一般人は、『英雄』のスポットライトが当たる場面しか見ませんが、

それは極一部であり、『光』が強く当たれば、当然『影』も濃くなります。

 

 

長々と話してきましたが、

 

 

それぞれの『ストーリー』を持った歴史上の出来事から、

先日(9月15日)、『10年間』という時間が経過しました。

 

 

そこで、1つの疑問が湧いてきます。

 

 

果たして、現在の『世界経済』は健全化され、本当に危機を脱したのでしょうか??

 

 

予め話をしておくと、

 

 

『経済』というものはとても面白い存在で、

単なるプラス・マイナスの『算数』だけでは説明が成り立ちません。

 

 

どんなに『債務』を積み上げようとも、

順調に『収入』を確保し、今後も『成長性』が見込まれる場合、

『お金』は健全に循環し続け、永続可能なシステムになります。

 

 

しかし、

 

 

一瞬でも『このまま行ったら、ヤバいのでは??』と思った途端、

その『流れ』は一気に逆回転し、即座に破綻寸前まで陥っていまう。

 

 

その辺り、

 

 

『世界経済』『国家』『企業』『個人』etc.

それぞれ組織の規模が違えど、大いに共通するポイントですよね。

 

 

また、

 

 

だからと言って、楽天的に『債務』を積み上げ続けて良い訳がなく、

『プライマリーバランス:フラット』が経済健全化の大前提です。

 

 

それで、果たして、世界経済は『正常』な状態を取り戻したのか??

 

 

残念ながら、これについては、少し懐疑的な意見が出てきています。

 

 

『次の金融危機が近づいているのは確実』

 

 

米国出身の著名投資家ジム・ロジャーズ氏は、

数年前から、著書やインタビュー等を通じてこのように警鐘を鳴らし続けています。

 

 

何故なら、

 

 

2018年3月発表の国際金融協会(IIF)データで、

世界の『債務残高(政府、企業、家計、金融機関)』は、

『247兆米ドル(日本円換算:約2京7000兆円)』まで膨張しているからです。

 

 

『2京7000兆円』というのは、天文学的な数字ですね(驚愕)

 

 

この値は、2008年末時点と比較して、

『75兆ドル(日本円換算:約8200兆円)』と『43%%』も増加した数字です。

 

 

対して、

 

 

世界の国内総生産(GDP)の合計額については、

『24兆米ドル』と。2008年末との比較で『37%』増に留まります。

 

 

更に、

 

 

『(世界合計の)GDP比』でみた債務規模は、

『2.9倍』から『3.2倍』に拡大し、こちらも金融危機時を上回る状況です。

 

 

前述の通り、

 

 

『国家』においても、『個人』においても、

『稼ぎに見合わない規模の債務を抱える』事は、経済的危機に陥る最大の要因です。

 

 

このロジックから行くと、

 

 

『NYダウ工業株30種平均』が過去最高値を更新し、好況に湧く現在は、

『経済的健全性』という観点では『2008年』に劣るという事になります。

 

 

あまりに『平和』な日々が続き過ぎていて、

今いち、その辺り『リアル』な実感が持ち難いですよね。

 

 

10年前の『危機』の発端となった『米国不動産市場』でも、

時間が人の『記憶』を薄れさせ、懸念される問題が浮上しています。

 

 

現在、

 

 

『住宅ローン担保証券(MBS)』は、『米政府支援機関(GSE)』が大半を支え、

この点は、2008年当時の状況と比較すると『安全性』が増しています。

 

 

また、

 

 

『GSE』以外が発行するリスク高めの『MBS債権比率』は急低下し、

当時は『ザル』のように通していた『融資基準』も、大幅に改善している。

 

 

この結果、

 

 

『安定性』と『投資機会』を求める投資家によって、

同市場は、時間をかけて順調に回復・拡大してきました。

 

 

しかし、

 

 

『人(私たち含めて)』は、想像以上に賢く無い生き物なので、

『同じ過ち』を何度も繰り返してしまうことは、歴史が証明しています。

 

 

米国金融当局が、このセクターへの関与を薄める中で、

 

 

規制緩和の方法を探り、『金融機関』が、

以前の『悪しき慣行』を取り戻すのではないかと懸念されています。

 

 

事実、

 

 

取得する『不動産評価額』に占める借入金割合が9割超の『30年物ローン』の比率は、

2010年時点の『5%』から、2018年現在では『35%』まで急増しました。

 

 

加えて、

 

 

債務者の収入に占める『返済負担率(DTI)』が、

1つの基準とされる『43%』を上回る住宅ローン割合も拡大しているようです。

 

 

ちなみに、

 

 

『日本』における『DTI』基準を調べてみると、『フラット35』において、

年収400万円未満では『30%』、それ以上では『35%』に設定されています。

 

 

個人的には、

 

 

『収入』に対して、この比率の『債務』をレバレッジ掛けて背負うことは、

『経済的な自殺行為』に他ならないと考えますが、、、、。

 

 

話が逸れました。

 

 

『サブプライム・ショック』から、今月で『10年』の時間が過ぎました。

 

 

一見、『世界経済』は順調に回復しているような印象を受けますが、

実情は、常に『リスク』を孕み続けながら『お金』が循環し続けています。

 

 

市場から発される『警鐘』に耳を傾けながら、

常にウォッチ(注視)し、『経済』を見守って行きましょう。

 

 

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井上耕太事務所

代表 井上耕太

ABOUTこの記事をかいた人

井上 耕太

・独立系FP事務所【井上耕太事務所】代表。
・1984年4月21日生まれ。岡山県津山市出身。
・2008年 国立大学法人【神戸大学】卒業。

【保有資格】
・CFP®(国際ライセンス:認可番号 J-90244311)
・1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格:認可番号 第F11421005598号)

【活動実績】
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【クライアント】
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