今日のテーマは、『社会保障システムは、延命し続けられるのか??』です。
本日2月16日午前、政府は関係閣僚会議を開き、
そこで、気になる決定事項もいくつか出てきました。
ネットニュースでも報道されていたので、
目にされた方々もいらっしゃるかも知れません。
若干、
平昌オリンピック・男子フィギアスケート、
怪我からの復帰戦となる羽生結弦選手が、
ショートプログラム1位だったニュースにかき消された感はありますが、、、、。
もし政府がそれも考慮に入れて今日決定していたとしたら、
相当、したたかな戦略だったかも知れません。
話を元に戻すと、
今日の関係閣僚会議で決定された、私が注目したポイントは次の事項です。
『国家公務員、定年65歳に段階的延長。21年度にも着手。』
『年金開始、70歳超も選択肢。』
この2つです。
全ての物事で『変化』が起こる時、
それは一方的に『メリット』『デメリット』に傾くのではなく、
両方の可能性がバランスとって存在していると思います。
この公式サイトブログでも何度かご紹介していますが、
これからは、『人生100年時代』と言われています。
上記した両者に共通する『メリット』を挙げるとすれば、
『それだけ、長生きが可能な時代になった』という事でしょうか。
これは全世界的に共通する常識では決してなく、
世界トップクラスの先進国、日本だからこそ可能な事です。
*事実、東南アジア諸国でこの法制度を整備したら、
『老後』『リタイア』という概念が失われてしまいます。
人それぞれ見たら個人差はあるにせよ、
実際に『人生100年時代』が実現可能だからこそ、このような議論が出て来たと言えます。
『最近の人は、不健康なものばかり食べているから長生き出来ない。』
私が子供だった20年ほど前はこのように言われていましたが、
幸いなことに、年配者の方々が語るこの学説(?)は覆され、
経済の上昇とともに、日本は世界トップクラスの長寿国になりました。
どんなに添加物を摂取しようとも、
やはり、『栄養価』の高い食事をすることのリカバーの方が大きいんですね。
戦後間もない時代は『人生50年時代』だったと推測しますが、
この『50年』ほどで、同じく人の寿命も『50年』ほど伸びてしまいました。
こういったポイントから考えて、
より、生涯を全うできるよう働く制度が整備されることは、恐らく『メリット』です。
では、『デメリット』は何か??
それは、『経済的観点』から考えた時に、
『日本』という国の『社会保障システム』が、そうしないと持ち堪えないという事です。
いや、この表現でも少し違っています。
今日閣議決定した内容を実行しても、
『社会保障システム』が持ち堪えることは、決してありません。
報道されたようなことは『今回が初めて』では決してなく、
以前から、少しずつ、少しずつ『免疫』をつけながら進行されていることです。
言わば、『延命装置』。
つまり、
日本国の『社会保障システム』は既に瀕死状態にあり、
この『延命装置』を付けたところで、決して軽快に向かうレベルではないのです。
少し、考えてみればわかります。
『公的年金』というシステムは、現在では65歳から支給開始され、
個人の考えにより、『繰り上げ』『繰り下げ』の両支給選択が出来るようになっています。
65歳支給金額を『基準金額』と定めるとすると、
『基準金額』から変更しなければ、誰もが総受給額が増加する『60歳前倒し受給』を選択します。
反対に、
この場合、『70歳繰り延べ受給』を選択する人は、
よほどの物好きか、何か特別な事情のある方以外いらっしゃらないでしょう。
そこで、
現行の年金制度ももちろん『メリット』『デメリット』を与えていて、
65歳より前倒しで受給を希望する場合は、1月毎に『0.5%減額』、
逆に繰り延べる場合は、1ヶ月毎に『0.7%増額』して対応しています。
今回、報道された『70歳以上にも繰り延べ可能』が実現した場合、
現時点で、具体的な『増加率』のアップレーションは出て来ていません。
ただ、
現行通りの『0.7%増額』では納得しない方々もいるので、
それ以上の『ニンジン』をぶら下げる必要がありそうです。
いや、本音を言います。
『70歳以上繰り延べ受給』する人なんて、いないと思うんです。
この公式サイトブログを熟読している意識の高い方々は勿論、
今の時代、『華金や〜!』と街で飲み歩いているサラリーマンでさえ、
日本の『国家財政』があまり宜しくないことなんて知っています。
いくら少し『アップレーション』があるからと言って、
『繰り延べ受給』を選択する人なんて、全体に『1%』も絶対にいません。
いかに日本人が『マスコミに影響されやすい国民』だからと言って、
月9で木村拓哉が『年金繰り延べ受給』を選択する役柄のドラマを流しても無理です。
でも、
もし仮に、今後日本人の考え方がドラスティックに変わり、
『繰り延べ受給』選択者が国民の大半を閉めるようになったとしましょう。
それで、『社会保障システム』は維持されるか??
残念ながら、これも無理なんですよね。
先日、香港に渡航した際、現地から発信したブログに挙げましたが、
この約30年の間『社会保障費』と『国債費(償還・利払い)』で、
国家予算は『約40兆円』も増加してしまったんですよね。
私が普段推し進める『資産形成』とは真逆の考え方で、
もう、『借金の利払い速度』の方が早くて、解決不可能なんです。
はっきり言って、
今、日本国の財政に対して行われている措置は、
『延命装置』のパイプを、次から次へと繋ぎ換えて(増やして)いることに他なりません。
いつかは、誰かが『ババ』を引かなければいけない。
その『X・デー』を、少しでも後の世代に、後の世代に、
自分の任期中はなんとか免れようと、『ババ抜きゲーム』を繰り返しているだけなのです。
コアな読者の方々はお分かり頂いていると思いますが、
私は、『理想論者』では決してありません。
この状況において、
『日本は絶対によくなるよ!』『大丈夫だから!』などと、
無責任に、希望的観測を述べることは全く出来ません。
『全ての人を助ける』ことは、不可能だと思っています。
そして、
きちんと自身で決断して、行動を起こし、準備した人だけ、
その自助努力に報われる形で、豊かな人生が送られることこそ『公平な世の中だ。』とも考えます。
これまで、
戦後復興から高度経済成長、バブル期に至るまで、
日本は『組織』としてまとまり、上昇していく時代でした。
しかし、
これからの時代、暫くの間は、『個』の時代です。
自然界を支配する物理法則、『エントロピー増大の法則』は、
人間社会にもそのまま当てはまると考えるのです。
*『個』として拡散された社会の後には、また『収縮』する時期が来ると想像できますが。
『社会保障システム』、崩壊します。
皆さん、『準備』は着々と進めていますか??
これだけ日々『サイン』が出続けている世の中で、
『知らなかった』『聞いてないよ』というのは、子供の言い訳にもなりません。
全ての方々に理解されることは不可能だと考えているので、
この情報発信が響く、思慮ある方々が行動を起こされる『きっかけ』になればと思います。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太