今日のテーマは、『日本銀行によるETF爆買いに待ち受ける結末』です。
昨日の公式ブログでは、
『超低金利の異次元世界は、バーストして終焉か??』と題して、
歴史的な超低金利時代に喘ぐ、『金融機関』の苦悩をご紹介しました。
昨年2018年、
日銀が公表する『借入金統計』上では、
1997年以来、約20年ぶりの融資金額『500兆円超』を記録しました。
しかし、
肝心の融資の『中身』は、20年前の当時とはかけ離れていて、
『債務利払い』を『(本業の)利益』で賄うことの出来ない、
『ゾンビ企業』の延命措置に対して行われているものが殆どです。
そもそも、
異次元レベルの『超低金利』が常態化しているのは、
日本国が『莫大な借金』を積み上げている為で、
『金利』が少しでも上昇したら財政圧迫は必至です。
この為、
日本国政府は、中央銀行である日本銀行と結託して、
『日本国債』の最終的な『受入れ地』となることで、
現在、『金利コントロール』をしています。
常々お伝えしていますが、
厳密に言えば、これは経済界で『禁じ手』とされている『財政ファイナンス』です。
何故なら、
『国家』が発行する債券である『国債』を、
『中央銀行』が最終的に買取るのであれば、
その瞬間に『無限ファイナンス』が可能になります。
正しくは、
その方法で『無限に印刷機を回す』ことは不可能なのですが、
その『麻薬』に手を付けてしまうと、待ち受けるのは『国家破綻』以外に有りません。
話の流れが『物騒な方向性』になってきましたが、
日本国が、現在その『禁じ手』を行なっている事は、理解していて良いと考えます。
それで、
現在、日本銀行が大量に買い入れを進めているのは、
昨日の話に通じる『日本国債』だけでは有りません。
明るい方はご存知かと思いますが、
近年メジャー化してきた『ETF(上場投資信託)』も、
現在、『年間約6兆円』というハイペースで購入し続けているのです。
因みに、
約10年前の2010年時点においては、
日銀によるETF購入上限額は、『年間4500億円』に制限されていました。
それが、
2013年、日銀総裁が白川さんから黒田さんに変わった際に購入上限額が増加し、
2016年からは、それまでの上限額から倍増の『6兆円プラン』が出来たのです。
このように、
中央銀行である『日本銀行』の強力過ぎる『買い支え』のもと、
『日経平均株価』は1万円そこそこの推移から、現在は『2万円』を超える水準に。
上昇局面においては、
『ETF爆買い』を押し進めるほど『保有資産』の簿価も上昇しますから、
一見、日本銀行も財政状況も『上昇』しているかのように見えます。
しかし、
それはまさしく『張子の虎』という状態で有り、
自らの買支えが保有資産の簿価を引き上げる『自作自演劇場』を演じたことになります。
そして、
その劇場の『終焉(終演)時間』は差し迫っていると考えられており、
最近では、市場のレスポンスに、投資家も神経を尖らせる局面が続いています。
実際、
前述のような流れで『日本市場』を日銀が買い支えて来たので、
2019年現在まで、『ETF購入単価』は順当に右肩上がりで上昇しています。
これが何を意味するかと言うと、
『ETF購入単価』と『日経平均株価』のデッド・クロスを迎えた際、
日銀が保有する『ETF』には多大なる『含み損』が生じ、今までのツケを清算する事になる。
具体的には、
日経平均株価が『1万8400円』前後まで下がると、
日銀保有資産が積み上げた『含み益』は吹き飛び、反対に『含み損』が発生します。
この状況では、
保有する『ETF』を売却して損を確定させなくても、
新たに『引当金』を積む必要性が生じ、『利益』『自己資本』が目減りする計算になります。
要は、
『日経平均株価:1万8400円』が、1つの『損益分岐点』とご理解ください。
更に、
その後も株価が減少し続け『日経平均:1万7700円』を割り込むと、
日本銀行の『自己資本』自体も脅かし、一気に『赤字転落』の可能性すら出てきます。
それは、
日本銀行の自己資本が『約8兆円』であるのに対して、
今年、2019年1月末時点での『ETF保有額』が、
簿価で3倍の『24兆円』まで積み上がっている為。
ただし、
この危機的状況を打開しようと『購入額』を減らしてしまうと、
市場が『リスク回避的』に反応し、その動き自体が『株価急落』を招くかも知れない。
現在の日銀は、
『行くも地獄、帰るも地獄』という何とも言えない状況で、
自ら大きく『スタンス』を変更することが出来ない、『ジレンマ』に陥っています。
個人的には、
『日本』『米国』始め世界市場は、ここまで不安要素を内包してきましたが、
『米中貿易戦争』が最終的には解決の方向に向かい、再び上昇に転じる事を望みます。
しかし、
市場はいつでも『アンコントローラブル』なもので有り、
私の希望的観測が叶わなかった場合、『日銀』としても試練の場面を迎える事になる。
そのような状況にある事もしっかりと理解し、
日々、市場に注目しながら『資産形成』して頂けたら幸いです。
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また、
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井上耕太事務所
代表 井上耕太