今日のテーマは、『難解な国際観光旅客税、理解出来ますか??』です。
昨日1月7日から、新たに導入された『税金』が有ります。
事前告知もあった為、大きく報道はされていませんが、
皆さん、ちゃんと気付かれていらっしゃるでしょうか??
『国際観光旅客税』
一般的には、
『出国税』と表現されているもので、その『通称』が表す通り、
国籍問わず、日本を出国する人が『1人1000円』ずつ納める税金です。
実は、
『27年ぶり』となる新たな『税金』の導入だったので、
もう少し、大々的に報道されても良かったのかも知れません(笑)
期日(1月7日)が過ぎた現在では、
航空券を手配する際、既に税金添加された状態で処理が進み、
以前より『1000円』がプラスされた状態で『購入手続き』が進みます。
こうされてしまうと、逃れようが有りません。
1月7日より前に航空券代金支払い完了していれば対象外でしたが、
航空券『発券済み』でも、同日以降に出国日を決定した場合は『納税義務』が生じます。
ただ、
『1人1000円』とそこまで多額ではない税金なので、
上記ルールを厳密に意識して、手続きを早めた方も多くはないと考えます。
無論、
2歳未満の子供であったり、入国24時間以内に出国する乗り継ぎ便利用者、
悪天候等の理由で、『やむを得ず立ち寄る人』に関しては徴収されません。
日本政府は、
この『出国税』導入により『年間500億円』の税収を見込んでおり、
徴収された税金は、『出国手続きの迅速化』や『観光地整備』に使われるようです。
その実現に向けて、
来年(2020年)の訪日観光客を『4000万人』と見込んでおり、
昨年(2018年)『3000万人』を史上初突破した事を考えると、
2年で『1000万人(30%超アップ)』の急拡大予測です。
しかし、
来年(2020年)は『東京五輪』が開催される年でもあり、
その事を考慮すると、決して『絵空事』ではなく、実現可能な目標に見えます。
尚、
現在掲げている『観光立国』の早期実現に向けて、
『インバウンド(訪日外国人旅行者)』の受入れ体制強化の為、
『財源確保』が狙いで導入される運びとなりました。
以上、『国際観光旅客税(出国税)』のご紹介でした。
自分で言うのも何ですが、とてもシンプルにまとめられていて、
非常にわかりやすい説明だったと思います(笑)
じゃあ、何故タイトルに『難解な』という言葉を付けたのか??
それは、
今回導入された『国際観光旅客税(出国税)』のルール如何ではなく、
その『存在意義』そのものが、いまいち理解し難いと考えるからです。
例えば、『似て非なる』事例として挙げられるのは、
イタリアの観光都市『ベネチア』が、先日導入を発表した『訪問税』で、
同都市『訪問者』には『最大10ユーロ(約1200円)』の課税されます。
(*税額は、訪問時期により『変動制』となるようです。)
ベネチアには毎年『年間3000万人』もの観光客が訪れているようで、
このインバウンドに対する『インフラ』整備には、財源負担が不可欠です。
流石、世界的な『観光都市』です。
この都市1つだけで、『日本』全体に匹敵する観光客が訪れるんですね。
そもそも、
今回取り上げた『出国税』『訪問勢』に限らず、『税金』というものは、
『利益を享受する者』が、全体で分割負担する事が『基本』です。
世の中で起こる事象は、
大部分は『確率論』に支配されて、大方整理する事が可能ですが、
それでも、1事例毎に見れば『例外』もあり、
生起確率の低い事象に遭遇した際は、社会全体の保障システムが必要です。
その最たる例が『健康保険制度』であり、崩壊寸前ながらも、
それが存在するからこそ、私たちは日々、精神的に安定して生活出来ます。
繰り返しになりますが、
『税金』の基本は、その活用により『メリット』を享受する者が、
該当者一律のルールを遵守して、徴税されるのが『基本』です。
しかし、
今回導入された『出国税』に関しては、この『基本』が完全に無視されており、
何故か、本来『日本』に居住する私達さえも一律徴収されてしまっています。
これは、徴税スタイルとして『意味不明』です。
前述した『ベネチア』の事例に当てはめて考えてみると、
増大する観光客に対応するインフラ整備の為、
『ベネチア市民』から徴税を進めているようなものです。
『源泉徴収』という日本特有の制度がない諸外国において、
『税金』に対する扱いは非常にシビアな視点で見られており、
もし上記を実行に移せば、完全に市民から『暴動』が起こります。
日本も、
『インバウンド』に対するインフラを中心とした環境整備を謳うなら、
その『訪日観光客』から、訪れる際の直接税として導入すれば良かった。
ただし、
この件に関して『上手い!』と言わざるを得ないのは、
『1人1000円』という『(懐が)痛くない金額』を設定した事です。
他業界でも、
例えば、通信業界は携帯電話(スマートフォン含む)契約1件につき、
『ユニバーサルサービス料』なる摩訶不思議な手数料を徴収していますよね。
都度変更あるようですが、
2019年1月8日現在で、1契約につき『月額2円』、
この金額であれば、よほどの偏屈な人間でない限り『文句』は言いません。
それでも、
日本全体で『1億7000万台』前後を推移する携帯電話契約状況から見ると、
『月商3.4億円』、年商に換算すると『40億円』ビジネスが出来上がります。
『なかなか』、ですよね。
話を元に戻すと、『税金』の徴税スタイルの『基本』から考えると、
今回導入された『国際観光旅客税(出国税)』は明らかな的外れです。
しかし、
『税金』に対する感度がそこまで高くない日本国民からすると、
このような事例も、『そんなもんか』と、簡単に『スルー』されてしまいます。
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代表 井上耕太