今日のテーマは、『70歳定年制計画義務付けの真の狙いとは??』です。
ここ数日間、世界を巡る『マネー』の話題をご紹介して来ました。
今日は、一転、『日本』を舞台にした記事を書いていこうと思います。
先日、
大々的に報道はなされていないものの、
個人的には、とても興味を惹かれる報道が出ていました。
現在、
従来型の『60歳定年制』はすでに崩壊しており、
政府は、大企業を中心に、希望者全員の『65歳雇用延長制度』を指示しています。
具体的には、
『定年延長』『定年制廃止』『契約社員や嘱託などによる再雇用』、
上記3選択肢の違いはあれど、本人が希望すれば誰でも『65歳』まで働ける時代です。
私が『会社員』をしていた10年ほど前、
『60歳定年』を迎えた方は、継続雇用の意思表示をしたとしても、
雇用主である『会社』が審査を行い、通過した者にしかそれが認められていませんでした。
今では、これは実質的に『禁止』されている訳です。
(*現実世界の実務上の話はわかりませんが。)
しかし、
今回、報道に出てきた法改正案では、『65歳』を更に超えて、
『70歳』まで雇用延長する計画策定を、政府が企業サイドに求めています。
流石に、
突然、『全員を70歳まで雇用延長!』とは行きませんが、
今後出てくるであろう、政府の『数値目標(割合)』をクリアする事が条件になるようです。
ただし、
社会全体として、『60歳定年制』から『65歳定年制』へとシフトしたように、
今回の事例も、数年ほどかけてスライド的に『70歳定年制』導入へと向かうのは自明です。
政府としては、
このような動きに対する理由説明として、
『従来の生産年齢人口(15~64歳)が減るなかで、経済活動の担い手を増やすこと』を掲げています。
果たして、この理由は『真実』なのでしょうか??
この議論をする『前提』として成立している『仮定』が、
近年、巷でよく聞かれるようになった『労働力不足』です。
『有効求人倍率が高度成長期並みを記録している!』とか、
『多くの企業で、人員確保が大変になっている!』という報道がそれですね。
しかし、
少し考えてみれば、とても『奇妙』な事なのですが、
継続的に人口が減少する『日本』という国家において、
慢性的な『人(労働力)不足』は起こり得るのでしょうか??
もし、
それが『本当に』起こっているのであれば、その理由は簡単で、
市場全体の『パイ』に対して、明らかにモノ・サービスが『過剰供給』です。
これは、
公式ブログ読者の皆さんも、実感湧きやすいと思いますが、
20年前と比較して、都市部ではコンビニが溢れ返っており、
あらゆる業種関係なく『24時間営業』が常態化しています。
*『24時間営業』とは行かないまでも、
深夜・明朝まで開業している『長時間営業』している店舗はザラにあります。
当然の話ですが、
それに従事する方々がいくら一生懸命に働いたところで、
もともとの『市場のパイ』は決まっていて変化ないので、
サービスの『過剰供給』は『パイの取り合い』に他なりません。
結果、
従事する方々が、どんなに身を粉にして働いたところで、
そこから得られる『収入』は低く、『負のスパイラル』に陥ってしまいます。
話を元に戻すと、
本来であれば『労働力不足』が起こっていない市場に、
『会社員』の仕事宜しく、自ら『無駄な労働』を作り出しているので、
単位時間・単位労働あたりの収益は落ち、世の中全体は疲弊していきます。
仮に、
『70歳定年』は社会で常識化したとしても、必要な労働総量は変化していませんから、
その方々に新たにペイされる『給与』は、現行の『現役世代』から工面される事になります。
今後の流れとして、
最も現実的、かつ、実際に起こりうると考えることは、
大企業を中心に『賃金カーブ』はさらに緩やかさを増していき、
『70歳』まで平均して支払われるという給与体系の成立です。
まさに、『賃金カーブ』のバリア・フリー化ですね!(笑)
もしかしたら、
政府が数年前から推し進める『同一労働・同一賃金制』が市民権を得て、
年齢による『賃金カーブ』自体が消滅してしまう可能性もありますね。
今回、
『70歳定年化計画』について、
政府の本当の目的は、『社会保障(年金)の支給開始年齢の更なる繰り上げ』です。
仮に、
『70歳定年制』が実現したとしたら、
現行ルールでも存在する『空白の5年間』を加味して、
一律『年金支給開始75歳』も現実味を帯びてきます。
『幾ら何でも、現行ルールから10年繰り上げはしないやろ??』
そう考えられる方々もいらっしゃるかも知れませんが、
日本の財政状況を考えると、そこまで『夢物語』とは考えられません。
むしろ、常識的に考えたら、その流れの方が自然です。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太