今日のテーマは、『世界経済減速、虚像の安全資産:日本円は継続するのか??』です。
7月も終盤に差し掛かりますが、『株式市場』の加熱が継続しています。
米国市場においては、
『NYダウ工業株30種平均株価』は、昨夜(7月25日)終値時点で、
『過去最高水準』を、未だにキープし続ける『2万7,140.98米ドル』。
今から『約10年前』、
サブプライム・ショック渦中だった、2009年初頭頃、
最低値として『6000米ドル』台を推移していましたから、
その時期から、『4倍以上』に跳ね上がった計算になります。
対して、
日本市場については、そこまでの『活況感』こそ有りませんが、
本日(7月26日)終値で、日経平均株価は『2万1,658.15米ドル』を記録。
こちらは、
バブル期の『過去最高値』にこそ、遠く及ぶものではありませんが、
『過去30年間』を振り返ってみた時、高い水準であることは変わりありません。
世界経済が『混沌』とした雰囲気に包まれる中で、
意外にも、両市場とも『高値圏』を推移し続けています。
これを受けて、
来週には『米連邦公開市場委員会(FOMC)』の開催を控えますが、一時は、
既定路線として進んでいた『追加利下げ』が、疑問視される事態になって来ました。
確かに、
『利下げ』という政策自体、経済が低調な際に取られる常套手段であり、
現在のように、株式市場が『高値』を記録している状況では、整合性がありません。
ただし、
『追加利下げ』を織り込んで『高値圏』を推移している株式市場は、
『利上げ見送り』により下落するという『パラドックス(逆説)』も共存しています。
果たして、
来週の『FOMC』では、どのような判断が成されるのでしょうか??
前述の通り、
歴史的に見ても、『高値圏』を推移し続ける株式市場ですが、
専門家の見方には『楽観論』がまったく無く、とても『シビア』になっています。
例えば、
『IMF(国際通貨基金)』が、先日改訂した世界経済見通しでは、
今年2019年、世界全体での経済成長率予測を『3.2%』へと引き下げました。
主に、
『米中通商摩擦』の影響が大きいとされていますが、『世界全体貿易量』を、
前回予測比から『0.9ポイント』も下方修正したことが響いた形となっています。
また、
『IMF(国際通貨基金)』は、来年2020年の『世界経済成長率』は、
『年3.5%』回復と見込んでいますが、現時点で、その根拠は明示されていません。
今年の話に戻ると、世界経済成長率の『下方修正』は4期連続。
『年3.2%』という数字は、前述、サブプライム・ショックからの回復期、
2010年以降の期間としては、最も低い水準を推移していることになります。
これは、
『年率3%』という基準を切れば、世界的不況感が強まるとされていますが、
IMF自身『世界経済は低迷を続けている』と、現在、警戒感を強めています。
少しだけ掘り下げると、
我らが『日本』は、先進国最低レベルの成長率を記録し、
今年2019年では『年率0.9%』の経済成長予測です。
これが、
来年は更に低下し、『年率0.4%』と見積もられていますから、
今年10月実施予定の『消費増税』は、かなりの影響をもたらすのでしょう。
2020年『オリンピック・イヤー』でも、カバーし切れないようです。
また、
今回は、少数派の『上方修正』された『米国(年率2.6%)』も、
来年2020年には、現在進行中の『関税引上げ』等の影響から、
その経済成長率は、『年率1.9%』まで大減速するとの予想です。
更に、
これまで『世界経済』全体の成長率押上げに影響力を発揮した『中国市場』は、
2019年『年6.2%』、2020年『年6.0%』と低成長に留まる予測です。
更に、更に、
欧州各国の成長率予測は『据え置き』したものの、
途上国市場を中心に、政局の混乱等から、成長率を引き下げる国々も続出しています。
それらを考慮すると、
現状の株式市場の『高値感』『活況感(?)』とは裏腹に、
世界市場は、『経済成長同時減速・株式市場同時下落』のリスクを孕み続けています。
そこに来て、
米・ゴールドマン・サックス社が出した顧客向けレポートが注目を集めますが、
市場下落時、リスク回避する際の『逃避地』として『日本円』が推奨されています。
これまで、
世界経済が不安定化した際の『逃避地』としては『金:gold』が主でしたが、
各国中央銀行や著名投資家が保有率を高めたことで、直近の取引価格が高騰。
現在、
国際的な取引指標の1つ『NY先物市場』において、
『1トロイオンス=1,440米ドル』台を付け、6年ぶりの高値圏を推移します。
その関係性から、
『金:gold』と比較して『割安感』の出てきた『日本円』がターゲットとなり、
今後、世界経済の『リスク』が顕在化した際、『買い』が集中するというのです。
しかし、
該当国『日本』に居住している私たちは、その『安全性』が虚像の上に成り立ち、
『逃避地』としての役割が、短期視点の一時的なものでしかない事を知っています。
世間の『穏やかな雰囲気』とは裏腹に、
水面下で、『世界経済』に対する雲行きが、とても怪しくなってきました。
『ターニング・ポイント』がどこに存在するのか、
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代表 井上耕太
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