今日のテーマは、『ナショナリズムが強まる時、日本経済の『魔法』も解けるのか??』です。
『ナショナリズム』
昨日の公式ブログから、この言葉を連続して使いました。
この言葉を聞いて、皆さん明確なイメージが出来ますか??
正直に言ってしまうと、使っている私自身が、
教科書のような『明確な定義』を文章により述べることが出来ません。
それは当然のことで、
昨今、聞き慣れつつさるこの言葉、実は、
お偉い学者さん同士の中でも、『明確な定義』は未だに決まっていません。
ただ、イメージ的に大枠を掴むことは大切だと考えていて、
狭い(と言っても国家単位。)民族、文化、経済の共同体に固執して、
『保護主義』(国家としての個人主義)的な政策を好む・推進していく思想・動き。
このように、私の中では定義しています。
この流れ、ここ最近、本当に顕著になってきていますよね。
多くの方々が最もイメージしやすいのは、
『米国ファースト』を掲げて就任した、ドナルド・トランプ米国大統領です。
『大統領令』という『伝家の宝刀』をバンバン振りかざし、
経済におけるドラスティックな変化も、ここまで躊躇せず推し進めてきました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
現在、米国は交易のある主要国ほとんどについて『赤字』を計上する、『貿易赤字(超)大国』。
無限の『欲望』を抱える、米国民の消費活動に応えるべく、
多くの国々から、自身が生み出す価値以上のものを輸入し続けています。
なぜ、
それだけ『赤字』を積み上げながら米国経済が破綻しないかと言うと、
第二次大戦敗戦国を筆頭に、多くの国々が米国債購入で『下支え』しているから。
*こちらの方は話すと長くなってしまいますし、
本編の趣旨とは微妙に違ってくるので、他の機会に譲ります。
ただ、
いくら世界の国々が米国債購入で下支えしていると言っても、
このまま『赤字』を垂れ流し続けるのは、財政状況として健全ではないことは確かです。
その状況を改善すべく、
トランプ大統領は、米国産業建て直しのため、
該当するライバル品目・産業・輸入国に対して『関税』を引き上げてきました。
最近では、
先月8日に『鉄鋼』『アルミニウム製品』への追加関税を発表しており、
友好関係にあった『日本』もこの対象に含まれることから、ニュース速報が流れましたよね。
しかし、
資源の乏しい『日本』以上にこの動きに打撃を食らった国はある訳で、
それはどこかと言うと、今や対米貿易で取引額トップに名を連ねる『中国』です。
この措置に対して、
中国も米国製品に対して『報復関税』なるものを発動し、
果物、ナッツ類、ワインなど120品目に対して『15%』、
豚肉、再利用アルミといった8品目には『25%』の追加関税をかける事を発表しました。
第二次大戦後から約半世紀ほど『米ソ冷戦』は続きましたが、
今後は、『中国』という新たに発展した大国との間で、この問題が浮上しつつあります。
世界経済の鍵を握るこの『2トップ』がこの啀み合いを続け、
世界経済の流動性を奪うことは、好ましくないのは誰の目から見ても明らかです。
確かに、
自国内の産業に陰りが見えた時、自国民を守る為、
他国製品(輸入品)の『関税』を高める事は、一時的な『保護』には繋がるかも知れません。
理屈上で言えば、
同程度の『質』『スペック』の商品を購入する際に、
『価格』が安いのであれば、自国製品は人々に選択されやすくなります。
本来であれば、
この時期にしっかり利益確保して、産業を建て直したら、
それを『ターニングポイント』にして、更な改善・改良をして、
自産業の『国際競争力』を強めていくのが正しい流れです。
しかし、
人間はそこまで『正しく』『強い』ものではなく、
一度『保護』されてしまうと、それに慣れ切ってしまって、逆に腐敗が進んで行きます。
この事は、過去の歴史を振り返っても、明らかだとわかっていますよね。
なので、
実質的な、世界経済『2トップ』によるこの報復関税合戦は、
該当2国だけに留まらず、世界経済全体にとっても良くない影響をもたらしていきます。
基本事項を確認しておくと、
『経済』というものは『循環』がうまく起こるところで発展していきます。
私利私欲にまみれた、不自然な『関税』をかけていく事で、
この『流れ』に変調が見られるので、望ましくない事は明らかです。
『ナショナリズム』『保護主義政策』は、
これまで人類が獲得してきた『グローバル化』の自由競争の流れに、逆行する動きなのです。
この『2トップ』の小競り合いに巻き込まれ、
『日本経済』も、市場にかかっていた『魔法』が解かれようとしています。
アベノミクス発動以来、
政府が推し進めたのは金融緩和による『上げ底』経済ですが、
現在では、『米国利上げ=円安ドル高』という、
ここ10年ほど成立した方程式が成り立たなくなっています。
米国の『保護主義』的な関税導入政策は、
海外諸国から『米国産業の(長期的な)弱体化』が完全に見透かされており、
『ドル』は主要通貨に対して下落し、完全に『一人負け』している状態です。
これから始まる混沌とした時代に際して、
リスク回避的に『日本円』に資金が戻ってくるという見方も強まり、
『日本円』は、より一層『円高』水準に移行していくかも知れません。
そうなったら、日本経済にかけられた『魔法』は解けます。
これまで対外取引で円安により『利益』を計上してきた企業が、
その『お化粧』を一気に剥がれ、すっぴんの状態で現れてくる。
ここ数年間続いた『浮かれ気分』が、一気に収束する時期も近いかも知れません。
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代表 井上耕太