今日のテーマは、『勝者なき争いの後、果たして待ち受けるものとは??』です。
昨日の公式ブログでは、
『対中制裁関税に滲む、覇権国・アメリカの焦り』と題して、
世界トップに君臨してきた『米国』の弱体化について紹介しました。
不思議な現象なのですが、
『米国』は国家として、確実に『内情』が悪化しているにも関わらず、
現在でも、世界市場における経済取引の約半分を占め、株式指数も堅調に上昇しています。
この辺り、
基軸通貨『米ドル』の最大特権を保有しているという事と、
第二次大戦勝利国として、敗戦国から『無限ファイナンス』が成立している事が起因と考えます。
後者について、
話せば長くなるので、ここでは書きませんが、端的に言えば、
優秀な民族・日本人が、能天気な民族・米国人の生活を支えているという事です。
『知らず知らずのうちに』です。
世界の覇権国・アメリカが凋落した理由としては、様々あると思いますが、
シンプルに言えば、同国が『魅力的な商品』を生み出せなくなったから。
かつて、
栄華を極めた米国の『自動車産業』が、他国に取って代わられて久しいですし、
恐らく、『平成』以降に生まれた方々は、その事実さえ知らないと推測します。
また、
電化製品等の産業についても、アジア勢に押される傾向は続き、
世界的に見ても、『米国社製品』が選択される場面は、確実に減少してきている。
数少ない例外、
『Apple』等の企業もありますが、税制的優遇を受ける観点から、
これら『米国に起源を持つ会社』も、現在は海外に拠点を移してしまっています。
その点、
厳密に、『米国』の国家としての『内部留保』に結びついているとは言い難く、
『多国籍企業』に対して、法整備が後手になった事も、衰退の一因と言えるでしょう。
結果、
『米国』国内に残ったのは、凡庸な産業を継続している企業に限られ、
その企業が生み出す製品が、国際市場で負け続けるという構図も納得できます。
わざわざ私が言う必要も有りませんが、
『米国復活』における、『根本的解決策』としては、
本来であれば、米国ない企業において『競争力ある商品』を生み出す事です。
対して、
現在、米国政府(トランプ大統領?)が推し進めようとしている事は、
この本質とは『逆行』する、海外製品への関税引上げによる、国内企業優遇政策です。
確かに、
『人』の購買行動に対して、『価格』は影響を与える一因子ですから、
『海外製品』に対して関税を高めれば、『国内製品』が選択される場面も増えます。
しかし、
『アンフェアな価格競争』は、一時的に『国内市場』を盛り上がらせる一方、
そこに生まれた『歪』は、中長期的には『弱体化』に拍車を掛ける側面があります。
考えてみれば、当然ですよね。
より身近な事例を挙げてみましょう。
現代ではどうかわかりませんが、私が学生だった頃には、
地元・岡山県は『学区制』が敷かれており、該当地域居住者が優遇されていました。
ここで、
ある『進学校』への入学を試みようとした場合、
募集定員全体の95%を『学区内』の生徒で占めるという優遇策が敷かれる一方で、
『学区外』とされた生徒は、残りの『5%枠』の狭き門を争わなければなりません。
同じ時代を生きた方々は、理解して頂けますよね。
上記条件の場合、
当然、『学区内』の入学生徒の中にも優秀者は存在していますが、
総論として、『学区外』からの入学生徒が優秀な群になるのは自明です。
確かに、
『学区内』の生徒は、優遇策により、短期的に『入学確率』が上がりますが、
それにうつつを抜かしていれば、その学校自体の学業レベル低下を招きます。
つまり、
中長期的視点では、『排他主義』という思想は、
『自ら』ではなく、排除されたサイドの『他者』を優秀にさせてしまうのです。
これと同じことが、現在、世界の経済市場でも起こっています。
めっきり話題に出なくなってしまいましたが、
数年前、『TPP(環太平洋パートナーシップ協定)』等に代表される、
世界の『ブロック経済化』が顕著に叫ばれる時期が、確実に存在していました。
『米国』『欧州』『中国』『ロシア』etc.
世界の覇権を争う各国が、自らを中心とした『巨大ブロック経済圏』を築く事で、
その領域内での『フェアトレード(自由競争)』を促そうとした試みです。
先ほど、
『排他主義』は、中長期的には衰退をもたらすと言いましたが、
『ブロック経済圏』ほど広域になれば、ある程度『自由競争』の原理が働きます。
皆さんもご存知の通り、
『自由競争』により、社会は適正に向上・成長していくことが出来、
『弱者救済』を掲げる政策は、歴史的に見ても破綻してしまいます。
私自身、
この(ある程度広域な)『ブロック経済化』は望ましいと考えていましたが、
ここ数年、それらを主導していた国々が、急速に『保守的』な姿勢を強めて、
『自国ファースト主義』に傾倒していってしまいました。
話を『米中貿易摩擦』に戻すと、
米国が『対中制裁(?)関税』を強めることで、一時的に国内企業は優遇されますが、
前述の通り、それは、中長期的に見て、『弱体化』に拍車を掛けることを意味します。
更に、
『対中関税引上げ』の対象品目である資源価格が高騰することにより、
米国内で生産される製品のコスト上昇も必須で、自らの首を絞める事にも繋がる。
『天に唾すれば、我が身に返る』
この言葉そのものですね。
現在、
米国が強硬策として推し進めようとする『制裁関税』は、
まさに、『誰得?』という状況に他ならないと考えます。
この『勝者なき争い』が早期に終結することを願いながら、
世界2大国間の『貿易戦争』を、引き続き、注目して見守っていきましょう。
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代表 井上耕太