今日のテーマは、『日本とベネズエラを待ち受ける結末の、奇妙な共通点』です。
昨日、一昨日の公式ブログでは、
経済危機に瀕して、デフォルト(債務不履行)が目前に迫る、
『ベネズエラ』という国家の惨状をご紹介させていただきました。
少しだけ振り返ると、
同国には世界最大規模の『原油』が埋蔵されていながら、
国家の主要産業を軒並み『国有化』したことから歯車が狂い始めます。
併せて、
『農産物』の分野も国有化・(不適切な)価格統制をした結果、
国家経済は、みるみるうちに『ズタボロ』にされていきます。
特に、
政府が行った、前述の『不適切な価格統制』により、
国の主要産業からどんどんと従事者が退出し、衰退へと追いやられていきます。
全ての発端は、
シンプルに国家レベルの凄まじい『物不足』で有り、
需要・供給の関係性から、高速でのインフレーションが進行。
並行して、
自国通貨『ボリバル』も、国際的な『信用』を失っていきますから、
海外からの輸入もままならず、一気に『負のスパイラル』に陥ります。
ここで、
時の政府が選択した道は『最悪』そのもので、
自国通貨『ボリバル』を大量発行し、インフレ進行を更に高速化するという茶番を演じました。
ここまで来ると、なかなか修正は効きにくく、
同国は、滝に引き寄せられる小舟が如く、財政破綻の淵を彷徨っている状況です。
よくある表現で、
政治は『脳』、経済は『血液』に例えられますが、
正に、『脳』が機能麻痺することで、『血液循環』にも支障を来した事例ですね。
残念ながら、
『ベネズエラ』という国家が、現在直面している課題を解決するには、
『デフォルト(債務不履行)』という選択肢しか残っていないと考えます。
それで、
今日のタイトルとして採用させて頂いたのは、
そんな『南米の小国』と、私たちが生活する『日本』の共通点の話です。
一見、何の『共通点』も有りそうに無いですよね。
位置関係、歴史、文化、人種、言語、宗教、etc…
むしろ、ぱっと思いつく項目を挙げさせて頂くと、
両国間の『相違点』ばかりが目に付いてしまいます。
そんな中、
私はかなり頻繁に、公式ブログで『ベネズエラ』の話を取り上げています。
それは、
メジャーリーガーを大量輩出する同国への強い憧れでは決してなく(笑)、
同国を取り巻く『経済危機』の現状が、『対岸の火事』とは言えないと考えるからです。
ご存知の方も多いと考えますが、
現在、『日本』という国家の累計債務は『1100兆円』を超えており、
GDP(国内総生産)比200%を遥かに超える『債務比率』は、
先進国間でも断トツで、国家経済として『危険領域』に突入しています。
常々、
『債務者』と『債権者』の関係性が入れ替えられているとお伝えしていますが、
『国民一人あたり855万円の借金』という言葉を聞いた方も多いと思います。
2017年末時点、
1年間における『歳入(主に国の税収)』は『約60兆円』有りますが、
そのうちの『約40%』に当たる『23兆円超』が、『国債費』に充てられています。
要は、既に発行している国債の『償還』や『利払い』に消化される費用です。
この状況でもなかなかのものですが、
一般会計における『歳出(国家としての年間支出)』は『100兆円』を超えており、
現状、こちらの『足らず』も、毎年『国債発行』による資金調達で賄っています。
つまり、
既に『年収(国家においてはGDP)』の2倍超の『借金』を積み上げていながらも、
我らが『日本国』は、毎年毎年、新たな『借金』を積み上げながら国家運営しているのです。
私たちが置かれる状況が、分かって来られたでしょうか??
でも、ここで1つの疑問が湧いてきます。
ロジック(理屈)的には、壊滅的な財政環境であるにも関わらず、
何故、現時点でも『日本国』は危機に瀕していない(ように見える)のか??
ここにも、きちんと『カラクリ』が有ります。
一般にはあまり知られていないかも知れませんが、
世界のいずれのボロック経済圏にも所属していない『日本国』は、
現時点で、発行する『債権』を、ほぼ100%に近い数字『国内消化』しています。
要は、『国民保有資産』で賄っているのです。
ただ、私たちは『国債』を毎年購入している感覚は無いですよね??
4月が明けて新年度を迎えた際にも、
金融機関の窓口に言って、『国債ください』と言った経験は無いはずです。
それもそのはず、
新たに発行される『国債』は、私たちが直接購入するのでは無く、
金融機関の保有資産が消化される形で、間接購入させられているのです。
日本の場合、
『高度経済成長期』から『バブル形成期』を経て、
『日本経済』が右肩上がりで上昇を続けていた際、
積み上がっていった『国民資産』が潤沢に有ります。
現時点で、
それは未だ尽きてはいませんから、
新規発行国債の『購入原資』が無くなるまでは、この『浪費生活』は継続可能なのです。
しかし、
懸命な公式ブログ読者の皆さんはお分かりになると思いますが、
物事の道理から考えても、そのような異次元状態が継続できるとは思えませんよね。
実際、
上記『購入原資』は年々枯渇する方向へと向かっており、
『あと10年もしないうちに、新発国債は消化出来なくなる』と言われています。
確かに、
日本国が保有する建物・土地等の『不動産資産』であったり、
対外債権等の『流動資産』を現金化すれば対応可能であるという話もあります。
しかし、
ここが『理屈』と『現実』が違う難しいポイントで、
『不動産資産』も買い手がなければ『無用の長物』となり、
『対外債権』も償還されなければ簡単に『不良化』します。
そう考えると、
純粋に、自国の『経済体質』として浪費癖が付いている点が痛くなり、
ここまで積み上げてしまった『借金』は、返済不能(デフォルト)に陥る可能性が高くなります。
『日本』と『ベネズエラ』。
遠く離れたこの2国は、その状況に陥った過程は違えど、
両国とも、現時点で、既に『経済危機』に瀕しています。
こちらもよく使う例えですが、
日本は、なまじ経済的体力があるので危機に見えませんが、
『沈黙の臓器:肝臓』と同じく、症状が顕在化した時には、一気に『終焉』を迎えます。
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代表 井上耕太