今日のテーマは、『一度手にした劇薬は、果たして卒業出来るのか??』です。
早いもので、『11月』がスタートしましたね。
2019年も、あと『2ヶ月』で終わりを告げます。
活動拠点とする大阪では、未だ、気温が下がりきっていない為、
現時点では、『冬』を意識するまでに至っていません。
ただ、
日々、『時間』が過ぎているのは『事実』なので、
意識的に、『1日』を充実させて生きていく必要がありますね。
今日は、時間も無いので、早速『本題』に入ります。
昨日(10月31日)、
日本銀行は金融政策決定会合を開催し、
フォワード・ガイダンス(政策金利先行き指針)の中で、
将来的に『利下げ』を深掘りする可能性を示唆しました。
米中貿易戦争等の要因で、
直近で『リスク』の高まる『世界経済』の減速傾向を考慮して、
日本国内市場の『緩やかな景気回復基調(?)』維持に万全を期す構えです。
具体的には、
注目されていた『マイナス金利』の拡大は見送られるものの、
『市中金利』の操作を中心とした大規模な『金融緩和』は継続していく事になります。
黒田総裁就任当初、
目標としていt『物価上昇目標2%』は、もはや実現不可能な状況ですが、
その実現に『逆行』する選択をする程、市場は『リスク』を孕んでいるという見方です。
実際、
同時発表された『経済・物価情勢展望リポート』では、
2019年度『実質GDP(国内総生産)』の成長率見通しは、
『前年度比+0.6%』と前回調査から下方修正されています。
また、
生鮮食品を除く『消費者物価指数』の上昇率も『同+0.7%』と、
前回調査から『0.3ポイント』程引き下げられた形になりました。
それでも尚、
国内経済の成長率見通しを、2021年度までは『下振れている』と認めるものの、
中長期的視点では『基調として緩やかに拡大している』と強気の見方をしています。
この言葉は、本当に『鵜呑み』にして良いのでしょうか??
そもそも、
過去の公式ブログ記事でも書かせて頂いた記憶がありますが、
『マイナス金利』という政策は、前例がほとんど無いながら、
経済界では、いくつかある『禁じ手』の1つと考えられます。
それ自体は、
『金融機関』が日本銀行の『当座預金』に預け入れる金額が一定額を超えた際、
その『超過分』に対する預金金利が『マイナス』になるという意味しかありません。
単純に考えて、
『金融機関』としては、『日本銀行』に一定額を超えて預け入れていても、
『マイナス金利』で目減りするので、市場に新たに資金供給するように思えます。
しかし、
残念ながら、そこまで経済は『単純(理屈通り?)』には回っていなくて、
『マイナス金利』を導入したからといって、突如、市場に魅力的な投資先が現れる訳ではありません。
これは、
童話『北風と太陽』の話であれば、完全なる『北風作戦』ですが、
その作戦がうまく機能しない事は、『童話』でも『現実』でも同様のようです。
また、
『マイナス金利政策』には、そこから派生して様々な弊害が発生しており、
その1つが、市中金利全体の低下、特に、『長期国債利回り』の下落が挙げられます。
あまり知られていない事ですが、
2016年の導入当初、政策発表資料の注釈に明示している項目として、
『日銀は長期国債買い入れの下限金利は設けず、▲0.1%を下回る金利でも買入れを行う』が有ります。
公式ブログでも何度か取り上げている通り、
現在の『日本国債』は、『信用格付け』『利回り(価格)』平衡が崩壊しており、
10年もの新発国債の利回りは『▲0.185%』を記録しています(11月1日現在)。
何故かと言えば、
前述の文言が示す通り、どれだけ『金融機関』が『日本国債』を受け入れても、
最終的に、『日本銀行(中央銀行)』が買い支え得てくれる仕組みがあるから。
ただ、
この『無限・財政ファイナンス』も、当然、未来永劫続く訳ではなく、
『リスク』を先延ばししている分、将来、顕在化した際の『痛み』は増強されます。
他にも、
『国債金利』を、信用リスク以上に低下させている理由等もありますが、
この事については、長くなってしまうので、また次の機会に譲りましょう。
話を戻すと、
昨日、日銀は『利下げ深掘り』の可能性を示唆し、金融緩和継続を決定しましたが、
現在進める政策は、『痛み』を『劇薬』で対症療法的に緩和しているに過ぎません。
そして、
人間社会でも同様に、『劇薬』は一旦手を染めてしまったら、
『幸福感』を得られるその『簡易さ』からは、なかなか抜け出せなくなる。
ただし、
『根本な問題』は全く解決されず、むしろ、増大し続けていますから、
顕在化した際に、取り返しのつかない『末期症状』を迎えて終焉します。
この辺り、現在の『穏やかな秋の陽気』からは、感じ取ることは出来ません。
ただ、私たちが生活する『日本国』が、
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井上耕太事務所
代表 井上耕太