今日のテーマは、『年金支給開始年齢、70歳イメージ化は着々と進む』です。
今日に限った話では無いですが、
この公式ブログでは『年金』『社会保障』テーマの話題は多く取り上げます。
人口ピラミッドが崩壊し、年代別構成が歪になった現代では、
『社会保障システム』の維持に、数年から100年ほど『痛み』が伴います。
現在の社会保障システムは、『100年安心プラン』と銘打って作られた、
現代の日本の状況にはそぐわない、『形骸化したシステム』だからです。
最近は、必死で(システムの)『延命措置』が行われていますが、
いつか、近い将来に『Xデー』を迎えてしまうのは明らかです。
『延命措置』が継続される最中、現時点で『受給』するサイドの人は恩恵ありますが、
私たちの世代(20代、30代、40代)が同等の『リターン』があると考えるのは、
『楽観視』という言葉で表現し尽くされないほど、馬鹿げています。
先日、少しだけ計算してみました。
(*人それぞれ基準は異なりますが、)
『60歳』でリタイア(退職)を考えられる方が、その時点において、
保有金融資産『2000万円』で、どのくらい生活していけるかです。
現行のルールでさえ、年金支給開始年齢は『65歳』なので、
60歳から64歳までの5年間は『空白の期間』と呼ばれています。
財務省の調査では、定年後の夫婦2人の平均生活コストは『月26万円』。
これは単純計算で『年間312万円』を意味しますから、
この空白期間にいおいて、『1560万円』の金融資産が消費されます。
『60歳』時点で『2000万円』しか保有していなかった方の金融資産は、
年金支給開始の『65歳』時点で、わずか『440万円』程度まで減ってしまいました。
問題は、ここで終わりではありません。
現時点で『厚生年金』支給を受けている方々の、
男性での平均受給金額は『月16万5000円』程度。
奥さんが専業主婦だった場合を考えると、
夫婦合算で『21万円』程度の年金収入があることになります。
ただし、
繰り返しになりますが、これはあくまで『現行』の数字で、
私たちの世代(20代、30代、40代)が受給する頃には、
多く見積もっても現行制度の『70%程度』が良い所です。
そう考えると、月額支給金額は『15万円』程度にまで減少します。
その場合、保有金融資産を取り崩して充当する生活費は『月11万円』。
年間換算で計算すると、『121万円』もの金額に上ります。
何となく、見えて来ましたね。
そう、65歳時点で『440万円』しか残っていませんでしたから、
そのペースで保有資産を切り崩していくと、『3年』程で底を突きます。
つまり、
『60歳リタイア』を選択した方々で、保有資産が『2000万円』しか無い方は、
『70歳』を迎えるまでに、破綻してしまうことが明らかになっているのです。
これは、
60歳時点の保有資産が『3000万円』でも、それほど大きく改善しません。
『空白の5年間』で消費される生活コストは同額ですから、
『65歳』時点で手元に残る資産は『1440万円』ほど。
これを『65歳』以降、『年間121万円』ペースで取り崩すと、
少しだけ『延命』されますが、『12年間』で資金ショートしてしまいます。
『人生100年』と言われる時代に、
経済的な観点で見たら、『80歳』まで生きることが出来ませんね。
『60歳』時点での保有金融資産(*不動産は除きます。)『3000万円』というのは、
正直、現在の日本全体で見ても上位の『少数派』だと感じているんですよね。
80%、いや、下手したら90%以上の方々は、
これくらいの保有資産も持たないまま、退職する日を迎えると思います。
今後の『格差』を考えると、ゾッとしてしまいますよね。
それで、
最近では、日本政府も躍起になって、マスメディア等を活用して、
『生涯現役』『年金支給開始繰り上げ』を喧伝するようになりました。
先日の新聞記事でも、そのようなことが書かれていましたね。
ある仮定の家族の事例をもとに、ストーリー調で、
条件が様々変わった際の、『年金支給金額』の推移を説明するものです。
世帯主は『60歳リタイア』を当初予定していたのですが、
経済的に考えると、とてもじゃ無いけど『リタイア』なんて出来ない。
1961年4月2日以降に生まれた方々が対象になるので、
現在58歳未満の方々の大半は、年金支給開始『65歳』が通例です。
60歳から64歳の『空白の5年間』も、
何かしらの仕事をせずに、乗り切れる方々は極少数だと思います。
『65歳』を迎えてもそれは決して安泰ではなく、
前述でも見て頂いた通り、公的年金だけでは不足金が出てきてしまう。
それを回避する為、
このストーリーでは、世帯主の男性が『70歳』まで、
『厚生年金』加入の事業所でしっかりと働き続けて、
年金も『70歳』まで繰り上げることを落とし所に話が進みます。
その結果、
何とか最低レベルの生活費を『年金』でカバーし、
慎ましやかに人生を過ごしていくことが出来る、と、、、、。
これは、何も特別な事例ではないと考えます。
むしろ、これが実現できる人は、まだマシな部類に入るでしょう。
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井上耕太事務所
代表 井上耕太